口腔領域の慢性疼痛への認知行動療法

松岡紘史 口腔領域の慢性疼痛への認知行動療法 痛みに対する認知行動療法が、身体科各領域で始まっている 第一回 精神看護 2011;14(4):64-68

  • 臨床心理学の分野では、痛みの訴えが長く続く要因として、身体の側面以外に認知の側面(痛みについての考え方や注目の仕方)、行動の側面(痛みがあるときの振る舞い方)、感情の側面(不安などのストレス反応)、環境の側面(周囲の対応の仕方など)の4点を重視します。
  • これら認知、行動、感情、環境を踏まえた心理療法を、認知行動療法と言います。
  • 舌痛症
  • 「検査結果で異常がないのに、痛みが生じるはずがない」と、患者さんの痛みの訴えを受け入れられない治療者もおり、治療者に不信感をいだいてしまっている患者さんもイます。
  • 認知行動療法は、患者さんの症状に関するとらえ方や行動を変容させ、症状の緩和を目指す治療法であり、海外では舌痛症に対する治療効果が確認されています。
  • 一回60分、4セッション
  • 第一セッション 舌痛症に対する心理教育、リラクゼーションの一つである漸進的筋弛緩法、症状のセルフモニタリングを行う
  • 第二セッション 痛みから他の何かに注意をそらして痛みを減少させる、ディストラクションを導入
  • 第二から四セッション 患者さんの痛みに対する捉え方の変容を目指す、認知的再体制化の手続き
  • まず痛みを感じた「状況」を思い出してもらい、そのときの「気持ち」や「考え」を整理して記入する練習を行う。次に考えを指示ずる「根拠」と指示しない「反証」をそれぞれ挙げてもらい、その証拠に基づいて新たな「適応的思考」を作る練習をおこなう