頚椎由来の慢性疼痛管理プログラムの実際

中島恵子 頚椎由来の慢性疼痛管理プログラムの実際 MB Med Reha 74:84-92,2006 

  • 慢性疼痛管理プログラム
    • 本田(1997)は、リハ分野における慢性疼痛管理プログラムを提唱し実践してきている。本田が提唱するプログラムの治療目標は、従来の医学のように痛みを取り除くことにあるのではなく、医師による講義、身体訓練による身体活動暫増プログラム、合理的な身のこなし方(ボディメカニクス)、心理訓練による否定的な認知の修正を通じて、「痛いからなにもできない」という患者の否定的思考を「痛くてもできることがある」「痛くても生活を楽しめる」という肯定思考への建設的な態度に変化させる点にある
    • 提供できる治療プログラム(痛みをとりあげない、痛みとの付きあいかたを習得することが目的である)を説明し、患者が納得した段階で治療契約を結ぶ
    • スタッフは統一して痛みの訴えに過剰に反応しないとともに、折に触れて、1痛みが必ずしも疾病の徴候でないこと、2安静よりもむしろ適切な身体活動が望ましいこと、3自分に適した環境整備や疼痛管理法を身につけること、へのサポートを心がけて対応していく
  • 心理療法士の役割、 チームの調整役
  • 慢性疼痛患者の心理的特徴と治療手段
    • 患者の特徴 2つ 心気的なこだわりが強く落ち込みがちな患者群、 転換型の患者群
    • 前者 ストレスそのものを表現することを目的に、できるだけ自分の気持ちを安心して表現してもらうことが必要 このタイプの治療は「気持ちの表現」が主題
    • 後者 自分の感情の気付きに弱いので、理性的思考から解放されるためにリラックスすることがストレス対処と考えられる このタイプの治療は「気持ちのリラックス」が主題となる
  • 慢性疼痛への認知行動療法
  • 心理士の基本的対応
    • 痛みのとらえ方、痛みへの態度、痛みが患者と周囲(他者)に与えている影響等を評価
    • 痛みをとらえないプログラムであるが、患者のつらい気持ちを傾聴しながら、痛みを拒否せず、患者の痛みに対して自ら取り組もうとする態度を強化することに努める
    • 患者の疼痛行動と周りの人々の反応との関係を把握することは、治療プログラムを決める上で有効である
  • 認知行動療法的アプローチ
    • ストレス対処、自己主張訓練、SST(社会的技能訓練)、注意の分散訓練