吉野敦雄、岡本泰昌、堀越勝、神人蘭、林優美、松永美希、山脇成人 慢性疼痛の認知行動療法 認知療法研究 2012;5:147-155
- 2011年より広島大学病院で、慢性疼痛に対する集団CBTプログラムを作成し、実施している
- グループセラビー 特に慢性疼痛のCBTにおいて、メンバー間の相互作用が治療効果をより増強するといわれている
- 慢性疼痛に対するCBTは、疼痛に対して新しい認知的、行動的反応を学習したり、ストレスのような疼痛に影響を与える要因を改善したり、疼痛をコントロールできるという自己効力感を増やすことによって、疼痛そのものや、生活、気分をかいぜんするとしている
- 認知メカニズムにおいてより関連があるのは、パーソナリティ・社会的役割・中核信念である
- 慢性疼痛では、損失・脅威的思考が強くなる傾向がある
- また疼痛における信念、自動思考(二次的評価)としては、疼痛が悪化する一方ではないかという破局的思考、他の精神疾患と同様の自己・他者に対する否定的思考、自分で治すことができないという自己効力感の低下、などがみられる
- これらの思考を、「痛みがあっても少しづつできることがある」、「痛みはある程度自分でコントロールできるものである」、「痛みがあってもうまくつきあっていけることができる」、「以前よりよくなっている」などと修正することによって、疼痛、気分、生活を改善することが目標となる
- 慢性疼痛の理想的な治療成功例とは、疼痛はある程度見られても、日々の生活において過度な精神的ストレスがなく、生産的な満足のいく活動に従事し、医療機関も定期的に受診できる状態になることである
- 疼痛はおそろしく、避けないといけないというよりも、できるだけ普通に起こりえるものであると認識するなど、疼痛に関連する認知や適応的でない行動を減らすことがより重要なことになる
- 広島大学における慢性疼痛に対するCBTの実際