筋・筋膜性腰痛 

中間季雄 筋・筋膜性腰痛 からだの科学 2010;266:21-26

  • 脊柱筋の収縮様式
    • 求心性収縮 収縮して骨と骨の間が接近するように収縮
    • 遠心性収縮 収縮しながら2点間の距離が広がる収縮様式
  • 最大前屈時に腰背筋の筋放電が消失現象を、屈曲・弛緩(flexion-relaxation phenomenon;FRP)といいます。
  • 体幹の前屈姿勢は腰背筋の酸素消費を伴う金活動である
  • 脊柱筋においては、遠心性収縮と求心性収縮とで筋の収縮程度も血流胴体も異なると推定される
  • 脊柱筋の遠心性収縮で最初におきる血流現象は筋肉のうっ血であると考えたほうが合理的
  • 筋肉の収縮、弛緩というpumping作用によりHbIが減少したと考えられますから、やはりうったいが生じていると考えられます
  • 腰部脊柱管狭窄症例では、体幹の前屈動作、すなわち遠心性収縮において強いうっ血が生じ、さらに90度前屈では腰背筋が伸展されたために、著しい虚血に陥ったものと考えられます。
  • これらの事実をまとめると、脊椎疾患にともなう脊柱アライメントの変化、すなわち腰部脊柱管狭窄症を含めて腰椎の後彎が強くなった例では、慢性腰痛の原因として腰背筋の慢性うったいが存在している場合と筋の虚血が強い例が存在することが考えられます。

並川崇、種市洋 腰痛の検査 からだの科学 2010;266:44-49

  • われわれ医師、患者さんともに、種々の画像検査による形態的異常にとらわれ、これをもって腰痛の原因としがちな傾向が見受けられます。

藤田宗久 精神科から見た腰痛 からだの科学 2010;266:69-72

  • 身体化障害
    • 30歳未満に発症 経過は慢性的、動揺的、女性に多い
    • 特徴として、症状の原因は求めず、症状を取り除くための治療をもとめる傾向がある
  • 心気障害
  • 持続性身体表現性疼痛障害
    • 痛みは情緒的葛藤や心理的社会的問題に関連して生じ、30−40歳代の女性に多く見られる 部位が様々
    • その痛みは不意にはじまり、強さが増強するため、痛みに完全にとらわれてしまい、すべての不幸の源は痛みであると思っています。
    • 治療のポイント 「身体と精神は一体で、痛みとなって症状が現れることがよくみられます。」
    • 治療は患者の主体性を奪わず、「疼痛があり何も出来ない」から「疼痛があっても行動できる」への移行を目指す(認知行動療法