片田重彦 徒手療法 AKA-博田方による腰痛の治療 からだの科学 2010;266:101-104
- MRIの普及により、簡単に椎間板の変性を画像上にみつけられるようになり、ほとんどの学者が信じるようになりました。ところが、ここに落とし穴がありました。
- Moos 1995年 腰痛があってもなくてもMRI上の椎間板の異常率はあまりさがないという驚くべき発表をしたのです。
- Lutsは2003年、腰痛を形態的な異常だけに注目して研究したこと自体がまちがいであったと、研究方法の誤りを鋭く指摘したのです。
- 1995年 Wyke 関節神経学 関節をひねった場合、関節包表面にあるタイプ1とタイプ2という感覚受容器が反応し、これがタイプ4という侵害受容器を興奮させます。このタイプ4の多くはsilent afferent neuronの終末で、neuropeptideを分泌します。当初の痛みは神経経路を伝わりますが、ついでneuropeptideが血行性に脳に達し、知覚中枢で持続的に疼痛を感じる仕組みです。
- 博田は、腰痛とは仙腸関節に捻挫のような不適合すなわち関節機能異常を生じた状態であると仮説を立て、その関節機能異常を改善するために、関節運動学と関節神経学の理論を基礎に関節の遊びを改善する手技、”AKA-博田法”を開発したのです。
矢吹省司、二階堂琢也、紺野慎一 慢性腰痛に対するリエゾンアプローチ からだの科学 2010;266:115-118
- 腰痛は、他の身体痛と比べて心理・社会的因子が深く関与しています。近年、腰痛を脊椎の障害と捉えずに、生物・心理・社会的疼痛症候群という概念で捉えることの重要性がしてきされています。すなわち、慢性腰痛では、器質的異常の検索のみならず、心理・社会的因子の評価が必要です。
- 患者は一般的に、自分の症状に心理・社会的因子が関与しているという治療者の判断と説明を必ずしも好意的に受け止めません。
中村英一郎、池田聡、武田俊、中村利孝 腰痛の予防 からだの科学 2010;266:120-125
- 腰痛の原因を考えると、実はさまざまな要因により成り立っていると考えるべき”伏魔殿”のような病態です。
- 2004 Tveito 職業性腰痛への介入に対するsystemic review
- 2004 van Poppel 職業性腰痛の一次予防介入に限ったsystemic review
- 腰痛 overuse type, disuse type
- overuse からだをよく使う動作が多い作業者 disuse すわったままのじっとした作業者
- 座位での作業者 肥満、運動不足、喫煙者、睡眠不足、残業時間が長いという悪い生活習慣の者には腰痛の訴えが多い。
- disuse typeの腰痛は生活習慣関連性の腰痛と言い換えてもよいかと思われます。
- かなり動く作業者の場合、BMIや運動習慣、残業時間は腰痛に関連する因子ではなくなった。
- 肥満者の腰痛に対する腹筋臀筋運動と体重減少を促す指導は、腰痛並びに腰痛により低下したQOLの改善効果があることがわかりました
- 内臓脂肪面積が大きくかつ大腰筋面積が小さいというグループのみ、腰痛有訴率が有意にたかいことがわかりました。