鹿野理子 アレキシサイミアにおける島皮質での内蔵知覚と自覚的感覚の乖離 心身医 2021;61:153-157
- アレキシサイミアがどのようなメカニズムで身体的および精神的愁訴(病態)と関連するのかという議論では、心身を動かす基本的な生理機能(自律神経、内分泌、免疫など)と感情の相互作用がうまくいっていないと推測されている
- 感情は本来、相応の身体反応(心拍増加や発汗、コルチゾールの増加など)と一体であるが、アレキシサイミアではそのような身体反応が自身の感情に伴って起きているとは理解されずに、なぞの心拍増加のようにとらえられ、本来不安などの感情の問題として表現されるべき問題を動悸などの身体症状として訴える傾向が強くなる(あと身体化)と推測される
- 不安に伴う心拍増加と思い、身体反応と自身の感情の相同が理解されれば、脳内では過剰な身体反応を和らげる機構を作動できるが、うまく働かずに強い身体反応が長引くと推測される
- そもそも快・不快のよな原始的な感情はより身体反応の形で表され、即時的、衝動的な行動と結びつけているが、自身の感情を理解したり身体反応との結びつきを理解したりするには、感情を概念的に理解することが必要になる。
- アレキシサイミアではそのような感情のイメージ、概念的な取り扱いができずに、自己の感情を洞察することもできずに、他者と感情を介して共感することもできないと推測される