精神症状と内受容感

是木明宏 精神症状と内受容感覚 神経心理学 2019;35:187-196

  • Charles Sherington 英 生理学者 ノーベル賞受賞者
    • 感覚の機能的分類
    • 外受容感覚(exteroception)、固有受容感覚(proprioception)、内受容感覚(interoception)
    • 内受容感覚
      • 身体全体のホメオスタシスに関係
      • 心拍や血圧、呼吸、消化管といった主に身体内部の生理的な情報の感覚
      • 痛覚や体温覚はもともと外受容感覚と考えられていたが、近年では内受容感覚と捉えられるようになった
      • 固有受容感覚を内受容感覚の一部として捉える立場もあり、そこでは身体内部環境に対する感覚として内受容感覚でまとめられる
  • 前部島皮質が身体情報の表象に関与する一方で、前部帯状回は身体情報に合わせた必要な行動の開始に関与するとされる
  • James-Langeの末梢起源説にもあるように、その身体反応が感情形成に与える重要性は広く受け止められている
  • 実際に感情の主観的側面に関係する脳領域は、内受容感覚の脳領域と共通しており、島皮質や前部帯状回を始めとした脳領域が指摘されている
  • Damasioらのソマティックマーカー仮説では、身体反応が意思決定に影響を与えるとしている
  • 島皮質損傷例 提示した画像に対する覚醒度および感情価を低く見積もったり、怒りや喜びの表情認知が低下していたりすることが報告されており、内受容感覚に基づく感情処理の障害が示唆されている
  • 島皮質の障害が異常な身体感覚を引き起こしている一役を担っている可能性が示唆されている
  • 完全脊髄損傷患者でも提示された画像に対する怒りや恐怖を評価することが難しいことが示されており、内受容感覚の障害が感情処理の障害を引き起こしたと考えられている
  • 統合失調症 内受容感覚の低下していることが示されている 統合失調症における身体感覚の異常に内受容感覚の異常が関与している可能性がある
  • ASDで心拍検出課題での内受容感覚の低下を示し、またその異常が失感情症や共感性の低下と関係し、ASDの感情処理の障害に内受容感覚の低下の関与を示唆した
  • 解離性障害 内受容感覚の低下は感情やストレスの認識の低下を引き起こす一方、身体や運動の異常症状にも関与するとなると、ストレスが認識されずに身体症状に表れるというフロイトの転換の理論は、内受容感覚を通じて説明できるかもしれない
  • 認知行動療法、とくにマインドフルネスは内受容感覚を改善しうる
  • predictive coding  脳は受容した情報を単に処理するだけの臓器ではなく予測をする機能をもつ臓器であり、感覚器から入力される生情報と予測が脳内で比較されるとする脳理論