慢性痛に対する認知行動療法の実際 第1回

  • 「慢性痛に対する認知行動療法の実際」に関する4回のwebinarが開催されている
  • 一回目(2020/10/16)の申込みに間に合わなかったので、後日公開されたアーカイブを拝聴した。
  • 一回目のテーマは「慢性痛CBTのプレパレーションと導入」。
  • 非常に有用なwebinarで、その中で心理師と医師(麻酔科医)の対話の部分(36分-48分ころ)が興味深かったので、以下にまとめを載せます
  • CBTの適応について考えること
  • 痛みはどうして起こっているのか?
    • #1 体に何か損傷が起こって痛い場合
    • #2 それ以外に、患者さんの生活の中で何か体の中に害を及ぼしうるであろう出来事(いわゆる心理社会的要因)があるような方
    • よくある(心理社会的要因)のが、経済的心配(会社を首になりそうだ、経済的にやばい、明日食べるのに苦労)で、体に害が及ぶ可能性があるわけで、そういうとき痛みがでやすい、そういう方は、検査では異常がででこない。でも痛み強い
    • #2がCBTの適応
  • 慢性痛は今まで脳の誤動作と説明していたが、誤作動というよりは、体が何かのメッセージをだしているのであろう
  • からだの中で損傷が起こっている場合もあるし、または体の外で生活のなか何かうまくいかないことがあって、それが体に影響を及ぼしそうなときに痛みとして症状がでのではないか
  • その他の治療について
    • 試していない治療をすればよくなるはずだと思っている人もまれにいる 
    • 体の治療にかけたい 一発逆転をねらう
    • 何かしてもらう治療に期待されている段階だとCBTは難しい
  • 患者への説明
    • 生活の中で何かしんどいことがあると痛みは出やすい
    • 不必要に薬は使わないように注意している
      • その意図 薬で症状を消そうとするのはよくない
      • 症状(痛み)は何かのメッセージであるので、それをただ単に薬で消すのはよくない 
      • 薬に頼ってしまうことがおこりうる
  • オピオイド
    • 体の中の損傷がある場合はよい。損傷がはっきり見当たらない場合使ってはいけない
    • 慢性痛でも、がんの場合は使う 
    • 明らかな損傷がない、原因が見当たらない場合は使わない
    • 医療者の痛みをとってあげようという親切心や使命感で処方されている場合がある
    • 警告信号をただ単に薬でとるのはよくない、危険
    • 薬剤乱用につながる
    • オピオイド使用すると効く。心理社会的な、あるいは生活の中での困難感がある場合でも効くが、効くからこそよくない
  • 精神疾患の併存例
    • 難しい かかりつけの精神科医と連携が必須 
    • 自殺企図に注意
  • 臨床で注意していること
    • 多剤にはもっていかない
    • 注射 立場上することがあるが、痛みだけを取る目的で少なくとも長期にしない
    • 生活支障に話をふる(大事)
  • CBTを希望する患者はよいが、CBTを希望されない患者、痛みをとってくださいという患者への対応に苦労、試行錯誤している
  • そのような方は、自信がなかったり、精神的エネルギーが少ない印象
  • 対応 そのような患者ををそのまま受け入れる そのままでいいのでは、そんなにがんばらないでいいと説明 うまくいかないことがおおい そのような場合、CBTには回さない
  • 役割分担が必要
    • 薬、ブロックという伝家の宝刀を患者は医師に求める
    • 心理師にはもとめない これはある意味、利点となる