松岡紘史、板野雄二 認知行動療法1 痛みをどう理解するか 痛みと臨床 2006;6(1):130-134
- 認知行動療法では患者の抱える問題を、1振る舞いや態度、行動(行動面)、2考え方や考え方のスタイル(認知面)、3感情、情緒面(情緒面)、4人間関係や生活環境のなかにあるさまざまな手がかり(環境)、5身体的な症状(身体)といった観点から構造化して理解しようとする
- 痛みに関与する心理社会的要因
- 振る舞いや行動
- 考え方や考え方のスタイル
- 破局的思考
- セルフエフィカシー
- 感情面、情緒面
- 人間関係や生活環境のなかにあるさまざまな手がかり
- 家族や周囲の人の反応
- 妻や夫が慢性疼痛患者を心配することによって痛み行動が増加し、訴えられる痛みが強くなると報告されている
- 患者の家族の過剰な共感や配慮は、患者が治療プログラムへ積極的に参加することを疎外し、結果的に望ましい効果が得られなくなることがある
- 機能分析
- 患者の訴えるさまざまな問題や症状を理解するにあたって、単に問題や症状そのものだけでなく、それらを引き起こしたきっかけが何であるがを考え(先行条件、先行刺激)、どのような変化が生まれ(問題や症状:反応)、そしてそうした問題や症状が生じた結果、患者はどのような結果を手に入れるか(結果)という三者の関連性を明らかにしようとする
- つまり、患者や周囲の変化が患者の症状にどのような機能を果たし、問題や症状を維持されているかを明らかにする
- おわりに 痛みは単なる感覚的な体験ではなく、行動認知情動環境といったさまざまな変数が相互に影響する複雑な体験であるといえる。認知行動療法はこうしたさまざまな原因を包括的にとらえ、患者を理解するところに特徴がある。一つひとつの事例に対し、丁寧に機能分析を適用することによって患者の理解が進むと考えられる