EBMとガイドライン(慢性疼痛へのアプローチ)

大庭由宇悟 EBMガイドライン(慢性疼痛へのアプローチ) 総合リハ 2011;39(8):739-744

  • アメリカ麻酔科学会ASAのガイドライン
    • 「慢性疼痛は、がんによるものを除き、慢性的な病態に付随するが、あるいは組織損傷の程度から推測される期間や治療機転の範囲を超えて持続する痛みであり、個人の機能や健康を脅かす状態である」と定義している
  • 痛みが心理的要因により影響をうけることは当然であり、プラシーボ効果を否定することはできない。患者―医師関係が良好であれば、信頼感や精神的な支えがプラスになり、痛みそのものが変容する可能性さえある。こういった側面はEBMには現れにくい
  • ASAの慢性疼痛管理実践ガイドライン ガイドラインのの目的
    • 痛みが完全になくなることはないかもしれないとわかった上で痛みのコントロールを最適化する
    • 機能改善、身体的・精神的健康を増進すること
    • 患者のQOLを高めること
    • 副作用など有害事象を抑えること
  • 目的の最初に痛みが消えないかもしれないことを認識しないさいと述べ、多領域にわたる慢性疼痛治療の困難さを明示するとともに、ガイドラインが痛みを除去するためのものではなく、疼痛コントロールの最適化やQOL改善を目的にしていることを明言している
  • 慢性疼痛へのアプローチの前提として、多面的治療と集学的治療プログラムが有用である
  • 心身症診断治療ガイドラインの慢性疼痛治療
    • 慢性疼痛治療の目標は痛みの完全な除去ではなく、痛みを受容し、自己コントロール感を獲得し、日常生活の行動範囲を広げ、社会生活への適応を改善していくことである