病態と治療(慢性疼痛へのアプローチ)

宮崎東洋 病態と治療(慢性疼痛へのアプローチ) 総合リハ 2011;39(8):733-737

  • IASPでは慢性疼痛を「治療に要すると期待さえる時間の枠組みを超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み」と定義している
  • 筆者は慢性疼痛とは、「生理的役割を果たす意義をなくしてしまった痛み」であると理解している。
  • 慢性疼痛をおこす痛みは生体に対する危険信号の役割を果たすことは全くないのであって、かえってヒトのQOL(quality of life)を損ねるだけの存在であり、痛みそのものが疾病であると言える
  • 治療 訴えられる痛みは疾病に認められる症状の一つはなく、慢性疼痛そのものが疾患であるという考え方で対応することが重要である
  • 痛みを完全に消失せしめることが理想的な治療であるが、慢性疼痛ではその大部分においてなかなか難しい現実がある。したがって、慢性疼痛の治療目標は、痛みの完全な消失ではなく、痛くてどうにもならない→いたいけどなんとかしている→痛いけど普通のひとと同じという過程を勝ち取らせることである。