筋痛の診断と治療

青木吉嗣、鈴木友子 筋痛の診断と治療 MB Orthop 2011;24(5):143-152

  • 筋痛のメカニズム
    • 筋肉の感覚器は、筋紡錘、腱器官、パチニ小体、パチニ様小体、自由終末などであり、筋線維そのものにはなく、筋線維を含む軟部組織(筋膜)、細動脈の周囲および筋腱接合部にみられる。
  • 筋痛の多くは侵害受容性疼痛である。筋の侵害受容器は自由神経終末であり、細い有髄神経線維(III群線維)もしくは無髄神経線維(IV群線維)を介して中枢神経系に接続している。
    • アデノシン三リン酸(ATP)や水素イオン(低pH),発痛物質、圧刺激などは筋侵害受容器を興奮させる
    • 筋の侵害受容器から持続的に中枢神経系に入力が生じると、N-メチルD―アスパラギン酸(NMDA)とニューロキニン1レセプターが関連した中枢性感作が生じ、痛みが痛覚過敏が誘発され、関連痛も生じると考えられている
  • 筋痛では、筋肉内にできた圧痛点が刺激されると、遠隔にある標的部位に疼痛が放散し、疼痛部位と責任病巣とが離れていることもある