- 筋性疼痛は運動時痛や圧痛などの機械痛覚過敏が特徴的であり、痛みを訴える筋の中にしばしば硬結があり、そこに圧痛点がみられることも多く、その圧迫により放散痛が生じなど、皮膚痛とはことなった様相を呈する
- 不慣れな運動のあとに生じる遅発性筋痛 伸張性収縮後に生じる
- 伸張性収縮 筋が伸張をうける状態で収縮 山を下る際の大腿四頭筋の収縮
- 発生機序 乳酸説、筋スパスム説、結合組織損傷説、筋損傷説、炎症説、酵素流出説、酸化ストレス説
- 炎症説が否定的な報告
- 運動前に消炎鎮痛剤により遅発性筋痛は抑制されるが、運動後に投与した場合には無効
- ブラジキニンB2受容体拮抗薬も運動前投与は遅発性筋痛を抑制するが、運動後の投与では無効
- 伸張性収縮負荷後に生じる機械痛覚過敏は細径線維受容器(Aδ,C)の機械刺激に対する反応性増大が大きな役割を担っている
- 筋性疼痛とグルタミン酸の関係
- 線維筋痛症 下行性抑制系の機能異常が各種症状の原因か?
水村和枝 筋性疼痛の最近の理解 Prog Med 2007;27:2098-2100
- 筋性疼痛の特徴
- 非炎症性で原因の明らかでないものが多く、加齢とともに頻度が増大する。筋肉全体が痛むわけではなく、しばしば限局した圧痛点が存在し、同部位の刺激により放散痛を生じる場合が多い。また、筋と周囲組織の硬くなった部分(硬結)がしばしば認められ、その中に圧痛部位(トリガーポイント)が存在することがある
- 筋肉に痛みを起こす刺激
- 疼痛を伴う筋痙縮の発生時には、激しい筋収縮から虚血が生じており、血流の遮断により局所のpHが低下する。また酸素の供給が断たれるため、代謝は乳酸の形成に傾き、筋収縮と細胞破壊にともなってATPが放出される。このようなきじょから、虚血時の疼痛発生にはpH低下と乳酸、ATPの三者が共同して関与すると推測される
- 筋性疼痛の伝達経路
- 機械刺激に加えて熱や発痛物質に反応する多数のポリモーダル受容器が筋肉に存在
- 筋性侵害入力の特徴 高閾値深部入力は強い下行性抑制を受けている。強い中枢性感作を作用を有する。