慢性疼痛患者のとらえ方

村上孝徳、山下敏彦 慢性疼痛患者のとらえ方 臨整外 2011;46:299-302

  • 1986 IASP 慢性疼痛の定義 治療に要すると期待される時間枠組みを超えて持続する痛みあるいは進行性の非がん性疾患による痛み
  • この定義には「慢性疼痛の病態は複雑であり侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、非器質的(心因性)疼痛が複雑に混在している」との注釈が付帯する
  • 慢性疼痛は、急性疼痛の概念では理解されない疼痛症状全てを「慢性疼痛」というワイルに押し込んだようなものであるが、患者像には一定の特徴を有していることも確かである
  • 慢性疼痛およびそれによる障害は身体的症状のみならず心理・社会的プロセスを経て形成され、固定化すると考えられている
  • 心理傾向 慢性疼痛患者は心理的抑うつ的であり、症状に対するこだわりが強いといわれている
  • QOL 非特異的腰痛患者は疼痛のため身体能力が障害され、このため社会的な役割を十分に果たすことができなず、かつ自己に対する評価が低い状態が窺われた
  • 疼痛性疾患の病態把握には急性疼痛(侵害受容性疼痛、一部の神経因性疼痛)の検索が第一義であるが、病態を合理的に説明する明確な所見が得られない場合、視野を広くもって全人的なアプローチが重要である