慢性疼痛患者のとらえ方

村上孝徳、山下敏彦 慢性疼痛患者のとらえ方 臨整外 2011;46(4):299-302

  • 慢性疼痛は、急性疼痛の概念では理解されない疼痛症状のすべてを「慢性疼痛」という名のファイルに押し込んだようなものであるが、患者像には一定の特徴を有していることも確かである
  • 本稿では慢性疼痛の定義を、現在の医療水準では器質的原因を合理的に説明することが困難な痛みであり、個々の病態に社会心理学的背景が濃厚に反映されていると推察される病態であると定義したい
  • 慢性疼痛やCRPSでは急性疼痛と比較して特に島、帯状回視床での反応が顕著であることが報告されている
  • 慢性疼痛は身体的症状のみならず心理・社会的プロセスを経て形成され、固定化すると考えられている。これまで心理的∉疼痛性障害)のみが強調されてきたが、神経因性疼痛をはじめとする器質的障害として病態を把握できないかを検討する姿勢が大切である
  • 疼痛性疾患の病態把握には急性疼痛(侵害受容性疼痛、一部の神経因性疼痛)の検索が第一義であるが、病態を合理的に説明する明確な所見が得られない場合、視野を広く持って全人的なアプローチを試みることが重要である。