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  • p48 非癌性疼痛 治療の原則は痛みとともに生きてゆくことを援助することである
  • p50 痛みは最終的には情動を伴う感覚であるので心の関与しない痛みというものはありえない
  • p66 林は急性疼痛を「疼痛システムが駆動し始めるときの痛み」、慢性疼痛を「疼痛システムそのものの異常か疼痛システムが持続的に駆動されている時の疼痛」と定義した。
  • p68 Loeser痛みの多層モデル 1 侵害受容 nociception 2 疼痛 pain 3 苦悩 suffering 4 疼痛行動 pain behavior
  • p71 歪んだ認知は生育環境における幼少時の心的外傷、両親の愛情の不足、結婚生活、家族間の葛藤などの情緒的な指示が弱い個人の生活史のなかで形成され、維持されていると考えられている。幼少児の心的外傷は慢性疼痛患者に特有な痛みに自分で対処が出来ずにに医療に頼る傾向を形作るといわれている。
  • p175 心因性の疼痛
    • 疼痛患者の多くは抑うつ症状を呈し、一部には大うつ病の診断も付けられる。これらの大部分は、痛みに対する反応性のうつ病や、疼痛により誘発された内因性のうつ病であり、痛みをうつ病の部分症状とみなすことはできない。しかし、なかにはうつ病そのものが痛みを引き起こしているケースもある
    • メランコリー親和型ないし執着性格と呼ばれる特徴的な病前性格(几帳面、責任感が強い、対他配慮性が高い、秩序志向、完璧主義)や、発病までの良好な適応は、内因性うつ病を示唆する
    • 不安障害には、急性のパニック障害を中心症状とするパニック障害、漠然とした浮動性の不安が長時間続く全般性不安障害、特定の事柄を恐れる恐怖症、ある考えや行動が繰り返され起こる強迫性障害、強いストレスの後に生じる外傷後ストレス障害などがある
    • 身体表現性障害のうち、痛みに関係するのは、転換性障害、ブリケ(Briquet)症候群(身体化障害)、心気症、疼痛性障害の4つである。
    • 転換性障害は、精神的な葛藤が身体症状に置き換わったものと考えられる
    • Briquet症候群というのは通常、成人早期に始まる、多発性、反復性で、慢性、動揺性の、医学的に説明のつかない身体症状からなる障害である
    • 心気症は、身体症状の訴え、疾病恐怖、疾病確信、身体へのとらわれの4側面からなる。患者との面接では、ある種の執着性や粘着性、隠された敵意、妄想的傾向といったものが感じられることがよくある。心気症患者に対しては、重篤な疾患はないことを保証するとともに、心理面では日常生活での現実的な話題を取り上げ、一方、性格や葛藤といった深層心理にあまり深入りしすぎないようにする、というのが現実的な対応である