脊椎のリハビリテーション 上巻 6

  • 第十一章 身体パフォーマンス能力の数量化
  • 機能的水準と身体能力の評価は、労働障害や慢性痛の患者の身体的検査の一部として重要な位置を占めるようになった。この特殊な評価が必要とされるのは、整形外科的テスト、神経学的テスト、画像検査といった従来の検査法では、患者の約10%しか痛みの原因を正確に診断できないからである。先端的な画像検査法を使うと、患者の疾患や予後と関係のない、偶然一致して存在しているにすぎないものが発見される場合が多すぎる(偽陽性率が高い)ことがわかっている。
  • しばしば誤った方向に導く画像診断、信頼性のない整形外科的テスト、あるいは症状についての患者の主観的な自己報告だけに基づいて治療ついての決定をしないようにするため、評価の主眼はしだいに機能や身体的パフォーマンスの低下の判定へ移ってきた。
  • 第十二章 身体能力テスト:アセスメントとアウトカムの拡張モデル
  • 憂うつな気分、否定的または肯定的な対処、痛みと再びけがをするkとへ恐怖とその結果としての活動性の回避、ストレスや不安、教育レベルの低さ、法医学的な補償の要求、薬物乱用などの心理社会学的要因が、慢性の身体障害の予測因子である。
  • 第十三章 雇用スクリーニングと、安全な職場復帰の判断のための機能的能力評価
  • 第十四章 アクティブセルフケア:脊椎原性疼痛患者のために機能再活性化
  • 「痛みを目安にするように」というアドバイスがしばしば与えられるが、これは疼痛回避行動とデコンディショニングをもたらす態度や考え方を強化するだけである
  • 逆に、「痛いことは必ずしも有害とは限らない」という考え方は、それほど注目を集めてこなかった。そういった再活性化アドバイスが、伝統的でより受動的なアドバイスよりも効果的であることが、腰痛に関しても、頚部痛に関しても明らかになっている。
  • 患者を自らのセルフケアプログラムにアクティブにかわらせる鍵は、彼らを痛みの回避者から管理者へ転換させることである
  • 機能制限は活動回避すなわち「活動は(再)障害または痛みの増加に終わるという信念」と、身体的集中すなわち「痛みの根底には身体の医学的問題があるという信念」に関連する
  • Troup 「痛みへの恐怖が続けば、それを明確に認めて処理しない限り、必ず疼痛回避からさらには廃用へと至る」
  • 怯えている患者の目標は、通常の活動やエクササイズにおける自信を増すことである
  • 慢性患者では、急性期中に自分を過剰に守ろうとして自ら引き起こした硬直や萎縮が、治療の標的になることもある。