長井信篤 慢性疼痛と心理社会的因子 心身医 2010;50:1139-1143
- 慢性疼痛(心身症)を診断・治療していく場合、1身体的因子2心理社会的因子3認知行動学的因子4社会生活機能障害の4つにわけ、さらに現在に至る準備因子、発症因子、持続増悪因子という時系列的とらえ方をすると患者の全体像や病態が理解しやすい
- 1身体因子
- 2心理社会的因子 うつと不安SDS,BDI,CES-D,HAD,STAI うつの客観的尺度 HAM-D 不安の客観的尺度 HAM-A その他CMI,POMS,YG性格検査、MMPI
- 3認知行動学的因子 1疼痛制御感2自己効力感3恐怖回避感4コーピングについての形式と戦略の4つの観点から分析
- 4社会生活機能障害の評価 疼痛生活障害評価尺度 PDAS:pain disability assessment scale
- 慢性疼痛患者の中には、「痛みが完全にとれない」という完全主義的思考、”all or none”的思考、心気症傾向のタイプもいる
- 慢性疼痛の心身医学的治療の目標は、痛みの完全な除去を目指すのではなく、痛みを受容し、自己コントロール感を獲得し、日常生活の活動範囲を広げ、社会生活の適応を改善していくことである
- 最近では、痛みが単に潜在する組織病変のみでなく、認知・感情・行動に影響を受ける多元的経験であるという考え方を基礎とした認知行動療法が効果的治療法として認められている。