痛みは常に主観的である

北原雅樹 痛みは常に主観的である ilihori 2010 No 3 40-47

  • 国際疼痛学会が発表している痛みの定義の中で一番重要なのは、「痛みは常に主観的である」ということです。
  • 慢性疼痛の定義は、痛みの原因がみつからない、もしくは見つかって原因と比べて明らかに痛みの訴えが大きいもので、組織の通常の治癒期間をはるかに超えるものとなります。
  • 難治性疼痛の原因
    • 病態そのものが難治性であるもの 幻肢痛視床痛、脳梗塞後の痛み
    • 患者側に難治性になる要素がある 心理社会的バックグラウンド
    • 医療者側が難治性にしている 実はこれが一番多いのが現状
  • 痛みは常に主観的であり、MRIやCT,X線には写りません。画像診断は痛みに関してはあくまでも補助的なものでしかなく、たとえ見つかっても画像診断で椎間板ヘルニアがみつかったからといって、それが本当に腰痛の原因であるかどうかは、臨床診断したうえで決めるべきものです。
  • 読者のなかには診察時に医師が患部に触れるのは当たり前ではないかと感じる方もいるかもしれませんが、「痛い場所をさわってもらったのは初めてです」「今まで、こんなこと(触診)をされたことはありません」という患者さんは、想像以上に多いのです
  • 痛みの治療にとって正確な診断が重要であることは間違いありませんが、それは患者さんに病名を与えることとイコールではありません。きちんとした治療方針さえ立てられば、難しい病名を告げて、患者さんを不安にさせる必要はないとわたしは考えています。
  • この患者さんの症状が改善したいちばんの理由は、希望がもてたことではないかと思います。
  • 診断によって治療方針が異なるなら、それは正確な診断を告げなければならい。しかし基本方針が変わらないのであれば、大きな精神的負担と一緒に、わざわざ難病名を患者さんに背負わせる必要はありません。良い診断は、よい治療に結びついてこそ、はじめて意味をなすのです。
  • 認知行動療法 リフレーミング
    • 「グラスに入ったワインを、もう半分しかないと思うか、まだ半分あるとおもうか」といった喩えはよく使われる

河西稔 薬物と神経ブロック療法 ilihori 2010 No 3 49-56

  • 痛み
    • 急性痛、慢性痛、がん性疼痛の3つにわけられるが、混在している場合がほとんど
  • 神経障害性疼痛 抗てんかん
  • 痛みは心理的なこととも関係しています。そういう部分は、患者さんと医師との信頼関係が大事になってきます。「この先生は話を聞いてくれる。体を触ってくれる。この先生なら任せてもいい」と思ってもらえると、そんなに薬をつかわなくても痛みが和らいでくる人がいます。