ペインクリニック4

信太賢治、増田豊 神経因性疼痛に対する神経ブロック療法 ペインクリニック 2007;28:S114-119

  • 1994 IASPにおけるカウザルギーCRPS type IIの診断基準
    • 神経損傷後に生じた症候群であること。持続する疼痛あるいはアロディニア痛覚過敏を生じるが、その範囲は必ずしも損傷した神経領域に限らない
    • 病期のいづれかの時期に認められる疼痛部位の浮腫、皮膚血流異常あるいは発汗機能異常
    • 疼痛や機能異常が他の理由で説明できる場合は除外すること
  • 交感神経依存性疼痛 SMP sympathetically maintained pain
    • 疼痛が遠心性交感神経活動によって引き起こされている場合。交感神経遮断により疼痛が緩和
  • 交感神経非依存性疼痛 SIP sympathetically independent pain
  • ABC synd (angry backfiring C nociceptor syndrome)
    • 交感神経遮断が症状を増悪させる

森脇克行、弓削孟文 慢性疼痛と薬物療法 ペインクリニック 2007;28:S140-149

  • 痛みとその治療の3段階
    1. 侵害受容 nociception (侵害刺激の種類、刺激の強度)
    2. 認識 perception (下行系抑制系、エンドルフィン、ニューロパシックな異常)
    3. 表現 expression (信条宗教、文化社会的背景、身体化、認知的状態)

矢島直、有田英子、花岡一雄 慢性疼痛と薬物療法 ペインクリニック2007;28:S158-167

  • 神経因性疼痛をもたらす中枢性感作はNMDA受容体の活性化によって起こる
  • 麻酔量以下の低用量では、ケタミンはNMDA受容体の非競合的拮抗薬として作用する
  • 通常感覚神経は繰り返し刺激されると疲労して反応が弱くなる。ところが末梢神経C線維を0.5Hz以上の頻度の侵害刺激で反復刺激すると、脊髄後角細胞の反応性が変化して(可塑性)感受性が高まり、刺激に対する閾値が低下し、しかも反応が長く持続するようになる。これをワインドアップ現象をよぶ。これはNMDA受容体拮抗薬によって選択的抑制される