エアレジ/AirREGI

scansnap iX1600 レシートのような紙を貼った用紙の連続スキャン

  • scansnap iX500からiX1600へ買い替え、後者のscanのスピートの速さに満足していた。
  • ただ、年に一度、レシートのような紙を貼った用紙(紙カルテ)を大量にスキャンする必要があるが、この作業をiX1600でしたら、「原稿の重なりエラー」がでて、iX500のときにできた連続スキャンができなかった。
  • 一枚ごとにscanのボタンを押すのでは、非常に効率が悪い
  • ググると、iX500では、[Scan]ボタンを 3 秒以上押し続けると、[Scan]ボタンが青色点滅し、この状態で原稿を読み取ると、原稿の重なり検出を回避できるという方法があるようだが、iX1600ではやり方が分からなかった。

okbizcs.okwave.jp
www.pfu.ricoh.com

  • そこでカスタマーサービスに質問したところ、ー営業日で回答をえて、解決した
  • scansnap home/プロファイル編集/フィードのオプション/マルチフィードの検出を重なりで検出を「しない」「または長さで検出」に変更すると、レシートのような紙を貼った用紙を連続でスキャンできるようになった
  • カスタマーサービス様、ありがとう。

慢性疼痛診療におけるペインクリニックの役割

北原雅樹:慢性疼痛診療におけるペインクリニックの役割. Brain and Nerve 75(3):235-241,2023

  • IASPの痛みの定義にあるように、医療者も患者も、「個人は人生の経験を通じて、痛みの概念を学ぶ」
  • われわれが人生で最初に遭遇し学ぶのは急性痛であり、痛みは急性痛の感覚として経験・記憶され、急性痛として対処される
  • 人が慢性痛を経験するのははるかに後年であり、したがって、いざ慢性痛を経験したときにそれを急性痛と同様に捉えてしまうのはやむを得ないことである
  • 痛みシステムはしばしば火災報知器にたとえられる
  • 急性痛は火災報知器が正常に作動して、火(組織の損傷)に対してアラームが鳴っている(痛みを感じている)状態である
  • システムそのものが故障して、火(組織の損傷)がないのにアラームが鳴っている(痛みを感じている)のが慢性痛である
  • そこで、「慢性痛と急性痛とは異なる」ということを真に理解して対処できるようになるためには、急性痛について長年蓄積してきた知識や診療経験(主に他社の経験)に基づいて、理性に基づいてねじ伏せる必要がある。
  • 慢性痛では原因がもともとよくわからない。したがって少なくとも臨床の現場では、慢性痛である(急性痛やがん性痛ではない)ことこそが重要なのであり、細かい診断名にはあまり意味がない
  • なぜなら、慢性痛では診断名がことなっていても、治療方針はあまり変わらないからである。
  • 患者・家族の多くは診断名が確定できないと治療法がなく、逆に診断名さえ確定すれば、治療法は存在すると思っている。
  • このようにして患者・家族だけでなく医療者も、どこかの誰かがつけた診断名にこだわり、振り回されがちになる。
  • そして、患者や家族は、インターネットやマスコミや知人からの情報の中から自分が信じたい情報だけを集めていくことで、ますます深く罠にはまっていくのである
  • 慢性疼痛治療における目的と最終目標は?
  • 痛みの軽減は慢性疼痛治療の最終目標の一つであるが、第一目標ではない。医療者は患者の痛いの管理を行いながら、患者の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL0を向上させることを治療の目的とすべきである
  • なかでも、物忘れの症状が主な健忘型MCIより、注意力や遂行力などの記憶力以外の認知機能が低下する非健忘型MCIは診断がさらに困難となる
  • 言語理解が弱い場合、言葉の意味を正確に捉えずに使用している可能性があり、したがって、コミュニケーションで伝えたいことと実際に伝わっていることが一致していない場合がある
  • ワーキングメモリが弱い場合には耳から入った情報を覚えておくことが苦手な場合が多いため、口頭での説明が理解できていないおそれがある
  • 獨協医科大学の山口重樹先生の名言であるが、「慢性痛だからといって薬剤を慢性的に使用する必要はない。」

穿刺(ワクチン接種を含む)を契機とした遷延痛への対応

北原雅樹:穿刺(ワクチン接種を含む)を契機とした遷延痛への対応. 産科と婦人科 89(6):657-661,2023

  • IASPの痛みの定義にあるように、医療者も患者も、個人は人生での経験を通じて、痛みの概念を学ぶ
  • そして最初に学ぶのは急性痛であり、痛みは急性痛の感覚として経験・記憶され、そして急性痛として対処される
  • 人が慢性痛を経験するのははるかに後年であり、したがって、いざ慢性痛を経験したときにそれを急性と同様に捉えてしまうのは仕方がないことである
  • しかし、実際には急性痛と慢性痛とは大きく異なり、そのため有効な治療法も異なってくる
  • 慢性痛と急性痛は異なるということを真に理解して慢性痛に対処できるようになるためには、急性痛について長年の間に蓄積してきた経験や記憶を、慢性痛についての知識や経験を基に理性をもってねじ伏せる必要がある。
  • これは容易なことではなく、かなりの慢性痛診療の経験が必要であり、しかも気を緩めると熟練者でもつい急性痛の視点に引きずられてしまう
  • ICD-11で示されたように慢性痛はそれ自体が疾患であり、しかも原因がよくわからないことが多い。したがって、少なくとも臨床の現場では、慢性痛である(急性痛やがん性痛ではない)ことこそが重要なのであり、細かい診断名にはあまり意味がない。
  • 穿刺後遷延痛への対処
  • それ以外の多くの場合では痛みの要因は筋筋膜性疼痛である。おそらく、注射後のごく初期の強い痛みに対して、痛みが悪化するのを恐れて注射された
  • 上肢をあまり動かさなくなったり不自然な格好で保持したりすること(恐怖回避行動)で起こるのではないかと思われる
  • 心因性」「精神的なもの」などの言葉は様々な誤解を生みかねないので不用意に使うべきでない
  • 対処法
  • 大前提として、原因の追求を「棚上げする」ことが必須である
  • 原因追求を棚上げするとは原因の存在を否定することではない。最も重要である患者の症状の軽快に焦点を絞って、患者・家族・医療者が協力して対処するためには、少なくとも一時的に原因の究明から離れる必要がある。
  • この際注意すべき点として、患者・家族のほとんどが原因や診断名について誤った概念を持っていることである
  • これらについてしっかりと説明をしないと、患者・家族はなかなか棚上げに応じてくれない
  • 原因を究明するのももちろん重要なことでしょうが、それよりも急いで対処すべきことがあるのではありませんか?というような例え話をする場合もある
  • おわりに
  • ワクチン接種を契機とした疼痛に関していえば、診療で最も重要なことは医療者側が「何とかなる」と高をくくることではないかと筆者は考えている

ヒトパピローマウイスルワクチン接種後の神経症状は、なぜ心因性疾患と間違われるのか?

高嶋博: ヒトパピローマウイスルワクチン接種後の神経症状は、なぜ心因性疾患と間違われるのか? 神経治療 35(4):536-542

  • 本症は、本質的には、病初期は視床下部を中心とした症候やsmall fiberの障害、その後、散在性の自己免疫性脳炎としての幅の広い中枢神経症状が出現すると考えられる
  • しかし、症状が多彩でこれまでヒステリー(身体表現性障害、身体症状症)の症候と言われてきた症状を併せ持つことから、l病院では心の病、または疼痛に伴う心因反応として捉えられることが多く、適切な医師に治療を受けられない状況が実際には起こっている
  • 抗体が直接的に症状を引き起こしているという可能性は低いが、一つのバックグラウンドとしては高頻度に自己抗体が存在することが明らかになり、免疫機序を示唆する所見のひとつと考えられる
  • 我々の得た臨床症状と臨床所見からは、びまん性の脳障害とsmall fiber neuropathyがあることは疑いようもないが、ワクチン推進の医師からは強力に心因性の疾患に入れ込もうという力が働いていることもまた事実である
  • HPVワクチンと本神経障害との関連について、関連性を疑う意見が多くでている最も大きな理由は、本症で見られる神経徴候が以前はヒステリーと言われてきた身体表現性障害、疼痛性障害、解離性障害などと言われる深層心理機序において引き起こされるとされている心因性疾患で見られるいわゆる偽神経症状を持つからということにつきる
  • もともと、精神科と神経内科は一緒に発展してきた経緯があり、原因のみつかったものから器質性の疾患として、神経内科系の認識されてきた。現在の神経学は、局所解剖学、すなわち神経局在に由来する症候や症状の理解には大変優れたものであるが、大脳がびまん性に障害されるような病態には弱いものであり、あまり対応ができていない状況である
  • 医師が患者の症状をみて直感的に辻褄があわない、またはわざとらしくみえるような症状であると考えると、それはすなわち”偽神経症状”となり、心因性起源の疾患と診断される。
  • しかし、ほとんどわかっていない我々の大脳機能の理解のレベルから考えると、この症状はつじつまが合わないなどということは軽々しくいえないはずである
  • その症状がなんとなく不合理であるのなどの理由だけで、心因性機序の疾患と診断してしまう権威ある病院があるが、その診断はその大病院という権威により容易には、修正が難しいのが実情である
  • もともと身体表現性障害は詐病ではなく深層心理のレベルの問題といわれており、この解釈もまた矛盾している。心因性機序を強く考える理論構築においては、その説明に都合の良いときだけ、その症状をまねできるかできないか(詐病的考え)により分けたり、あるときは無意識である深層心理による発生機序を使い分けながら、都合よく心因機序に無理に持っていっている感は否めない
  • 一見不合理に見える徴候を注意深く観察し理解できる医師のみが、HPVワクチン接種後脳症の病態を見極めることができるのであろう
  • フロイト以来,100年以上にわたって、深層心理のレベルで患者の知らないところで、本人がたいしてストレスを自覚していなくても、どんな症状でも起こり得るという理屈が通ってきている。現在でもそのように患者に説明しているわけだが、この時代になっても果たしてそれでよいのだろうか。重症筋無力症やGuillain-Baree症候群、N-methyl-D-aspartate receprtors(NMDAR)脳炎、橋本脳症など多くの疾患が深層心理機序から抜け出したが、そのことは忘れてしまっている。これまで、一つでも深層心理の抑圧でおこったことが正しく証明された疾患があるのであろうか。私は、深層心理機序に固執しても、いろんな原因による大脳のびまん性障害の疾患が抜けた後に、最後に残る疾患があるかどうかさえ疑わしいと考えている。

予防接種ストレス反応(ISRR)について教えてください

齊藤昭彦 予防接種ストレス反応(ISRR)について教えてください up-to-date  子どもの感染症 20(1):22-24,2022

  • ワクチンの成分ではなく、ワクチン接種に関する不安によるストレスが原因で起こる反応を総称して予防接種ストレス関連反応(immunization stress-related responses:ISRR)と呼ぶ
  • 2020/1 WHOが発表した新しい概念
  • 急性反応(接種後5分未満)と遅発性反応(何日か経過後)
  • 急性反応
    • 交感神経系の活性化に伴う反応
      • 急性ストレス反応 循環器系:頻脈、動悸、呼吸器系:息切れ、過換気 神経系:口渇、熱または冷感、手のうずきやしびれ、発汗
    • 副交感神経系の活性化にともなう反応
      • 循環器系:徐脈、血圧低下、呼吸器系:息切れ、過換気、神経系:視覚障害(眼前暗黒感、複視、斑点、めまい、失神)
  • 遅発性反応
    • 解離性神経症状反応(DNSR)
      • 脱力または麻痺、不自然な動きや四肢の姿勢、不規則な歩き方、言語障害、明らかな生理学的根拠のない心因性の非てんかん発作
  • リスクファクター
    • 10歳代、ワクチン接種と関係なく血管迷走神経反射による失神の既往がある、ワクチン接種を含めた注射後に嫌な経験があること、注射への恐怖、不安障害や発達障害(ASD)
  • ISSRは集団で起こることがある。これはISSRが共通の原因で起こったという思い込みが原因と考えられる。(報道等の影響)