松本英央、吉川雅博、住谷昌彦、石黒浩 “よい聞き手”を目指した人に同調するアンドロイド 日本ロボット学会誌 2011;29(10):879-882

  • 我々は痛み外来pain clinicの診察にアンドロイドを同席させる実験を行っている
  • 一般的にカウンセリングで重要なことは「よい聞き手」になることだといわれる。そこで、我々のグループでは、この認知行動療法を効果的に行うため、人間に酷似したアンドロイドによるよい聞き手が実現できないかという視点のもとで、人に同調するアンドロイドの研究を行っている
  • 65歳以上の高齢者の方が有意に肯定的な印象をもっていた
  • 女性の方が有意に評価が高い
  • アンドロイドの同席が医師に対する印象の形成に良い影響を与えていることが示唆される
  • Rogersが提唱したカウンセラーに必要な3つの基本的態度のうちの一つ、「共感的理解」に関連したQ3の質問(医師はあなたに共感してくれたか?)に対する評価が向上したのは重要な点である。痛みとは情動的・認知的な側面がある主観的な経験であり、他者が共感してくれることによって痛みが軽減することもあり得るためである
  • 高齢な患者の方がアンドロイドに対して肯定的であり、またアンドロイドの同席が医師の印象を向上させる可能性が示唆された