村上孝徳 痛みを有する患者に対するリハビリテーション医師の役割 MB Med Reha No.177:1-6,2014
- 急性疼痛は痛みの原因を特定できる病態と言える
- 対して慢性疼痛は、現在の検査手技では疼痛の原因・病態を客観的に把握することが困難であり、このため治療計画すら立たず治療に難渋する病態である
- 疼痛傷害に対する理学療法は身体機能訓練を介して動機付け(やる気)、達成感(満足度)を得ることに目標がある。情動を上手に発動させることによって、中枢における鎮痛機構を活性化させることが可能である
- 非特異的腰痛による傷害は身体的症状のみならず心理・社会的プロセスを経て形成され、固定化すると考えられている。このため、単に除痛を目的とする治療は功を奏さないことが多い。医療サイドには身体的にred flagの診断、日常生活動作計画を含む身体機能の評価、従事する職業に特異的な動作を含む人間工学的評価、さらに心理的な評価(yellow flag)が求められる。それぞれの問題点に関して具体的に対処するには、医師(身体医)をはじめ理学療法士、精神科医・心理療法士、社会福祉士など他職種による集学的治療が有効であると考えられる
- 認知行動療法は、1疼痛制御感、2自己効力感、3恐怖回避感、4コーピングの4つの観点に基づき分析、実行される