- 国際疼痛学会(IASP)によると、痛みとは「実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはそのような損傷を表す言葉で表現される不快な感覚性・情動体験」と定義されている。つまり、痛みは、1組織損傷に起因する急性痛と損傷との対応が見いだせない慢性痛に分類され、2感覚的、情動的、認知的側面を含めた多面性を有することが定義付けられている
- ”本当に困っていること”、それは痛みそのものではなく、痛みによって損なわれたこと、つまり患者が失った社会的役割、楽しみ、希望などの損失、喪失であり、この喪失はQOLを著しく低下させる。
- したがって、痛みの評価では、痛み患者の心理社会的側面を含め多面的に捉えることで、どの側面が強く反映し表現されている痛みであるか、その痛みによって何が制限、阻害されQOLを低下させているかを測り知ることが重要であり、言うまでもなく、その結果によって治療介入は変わってくる
- 痛み患者の特性
- 五重円モデル
- 痛みの悪循環 fear-avoidance model
- 心理社会的問題 全か無かの完全主義、心の読み過ぎ、先読みの誤りから不安を感じて回避する傾向、すべき思考、他者への怒りを潜在させやすいなど極端な思考行動パターン
- PCS pain catastrophizing scale
- 反芻(痛みのことが頭から離れない)、無力感(痛みの対して自分は何もできない)、拡大視(痛みを必要以上に大きな存在と捉えてしまう)
- ペインリハにおける認知行動療法では、1教育(説明)、2ゴールセッティング、3プロブラムとペーシング、4フィードバックと修正の流れで、学習プログラムをくり返す。
- 教育は、痛みと身体所見との因果関係が明確でないこと、fear-avoidance modelによる痛みの悪循環に陥っていること、動くと悪化する(安静が安全)という誤解を是正する必要があることなど、評価にて抽出されたその患者に特異的な問題点と打開策のヒントについて説明し、納得が得られるまで教育する。
- ペインリハの運動療法や認知行動療法では、特にペーシングが重要と成る
- 痛みのリハマネジメントは、身体運動を介して患者自身で痛みをマネジメントすることの学習であり、セラピストは痛みに苛まれ悪循環の中で苦悩している痛み患者の本質・特性を見出し、突破口を模索し、患者が治療のステージに上り主体性をもってチャレンジできる環境を整え引導する重責を担う