人を動かす対話術 6

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人を動かす対話術 p198 自己否定を克服するアプローチ

  • マーシャ・リネハン (1943-) アメリカ 精神科医
  • バリデーション(validation 認証戦略)
  • ターゲットは、二分法認知の改善で、 全か無か、全部良いか全部悪いのかの両極端になりがち人に、良いところ探しのアプローチをすると、二分法認知が改善されるというところから始まった。ところが実際には、二分法認知だけでなく、自己否定的信念やそれと結びついた否定的認知全体までもが改善していくのである
  • 二分法的認知は、否定的認知や自己否定と密接に結びついているのである。完璧が善で、完璧でない存在が悪であれば、たいていものもは悪になってしまう。他人も自分もすべて不完全な出来損ないということであれば、何もかも信用出来ないということになる
  • 4つの認証戦略による対話技法
  • 情動認証戦略、行動認証戦略、認知認証戦略、チアリーディング戦略
  • 情動認証戦略 気持ちをありのままに表現させて、それを受け止め、理解し、その意味を共有し、肯定するということである
  • 行動認証戦略
    • すべての行動に理由や意味があり理解できるという視点から、あらゆる行動をありのままに受け止めようとする戦略
    • この戦略に抵抗するのは、「ねばならない」の思考である。正しい行動だけをしなければならない、悪い行動をしてはいけないという、「ねばならない」の思考にとらわれることで、してはいけない行動をしてしまう自分を否定的に見てしまう。この「ねばならない」思考にとらわれることで、してはいけない思考に対抗し、起きることを正や邪の判断でみるのではなく、すべては起きるべくして起きているという受け止め方を繰り返し伝えなければならない。さらには、「ねばならない」とかんがえることにも意味があるとして、それも受け入ようとするのである。
    • 人はさまざまな「ねばならない」に縛られている。この縛りがその人を落胆させ、苦しめる
    • まず重要なのは、行動をありのままに事実に即して説明してもらうことである。感情的な解釈や思い込みでなく、事実そのものを客観的に語らせるようにリードすることがポイントである
    • 事実を客観的に描写し、それを互いに共有できたところで、その行動の否定的解釈でなく、肯定的な意味探しをしていく。強い自己否定にとらわれている場合には、この作業が特に重要になる
  • 認知認証戦略
  • その人の認知や信念がたとえ不適応的なものであったとしても、それを否定し改めさせようとするのではなく、むしろ肯定的な側面を認める働きかけを行ったほうが、否定的な認知の偏りを修正するのに役立つということである
  • まず重要なのは、「現実におきた事実」とその人の「頭の中で起きたこと」をしっかり区別する作業を行うこと
  • とかく患者は否定的なレッテルを貼られがち。そうなってしまうにはそれなりの状況があるにも関わらず、認知が偏っているだけと説明されても、自分の気持ちを汲み取ってもらえたようには感じられない。ただ自分のことを否定されたように思うだけで、どうすればいいのかますますわからなくなり、自信もなくなる
  • 「どういうことからそう思うの?」と共感しつつ、同時に事実を掘り下げていく問いかけを用いる
  • この方法の優れた点は、どちらか一方の主張だけを押し通そうとはせずに、別の可能性も指摘しつつ、相手の感じていることを受け止めるという両面作戦をとっていることである
  • 「あなたのそうした考え方は、あなたを苦しめる面もあるかもしれませんが、あなたがこれまで生きてきたなかで、何か大切な意味があったように思います。」
  • 「あなたは、そう受け止めることで、いつも自分を守ってきたんだね」というように、その肯定的な意味のほうに着目する
  • チアリーディング戦略
    • 「よくやっている」「あなたならできる」「あなたには、その能力がある」外野からの批判に反論する、「わたしがついているから大丈夫だ」「できることからやってみよう」「なにができるか、考えてみよう」寄り添い続ける