慢性疼痛への理学療法―がん症例

増田芳之 慢性疼痛への理学療法―がん症例 PTジャーナル 2012;46(2):131-136

  • Saunders 禅の痛みを全人的疼痛(total pain)と捉え、4つの因子があるとした。身体的疼痛physical pain, 精神的疼痛 psychological pain, 社会的疼痛 social pain, スピリチュアルペイン spiritual pain
  • spiritual pain 終末期患者の人生の意味や罪悪感・死への恐れなど死生観に対する悩みが伴う苦痛のことで、「私の人生は何だったのか」「生きている意味はあるのか」と思いつめることを指し、「霊的な痛み」とも訳される。つまり、患者自身の人生の否定、価値観の否定、そして最終的には存在を否定されることに起因する。抑うつ、不安、怒り、いらだち、諦観など、すべてがスピリチュアルペインといわれる。人間の尊厳という考え方などを視野に、薬や社会制度などで取り除けないこの痛みを癒すことも重要になってくる
  • また、身体的苦痛とともに、終末期がん患者が経験する様々な喪失にも理解が必要となる。理学療法士の具体的な対応は、個々の症例によりことなるオーダーメイドの介入となるが、傾聴と共感が、疼痛緩和に作用することも多々見られる