気分障害で出現する腰痛の臨床精神病理学的研究

吉田勝也、加藤敏 気分障害で出現する腰痛の臨床精神病理学的研究 精神神経学雑誌 2009;111(6);615-627

  • 精神科へ入院した気分障害患者で、腰痛群と頭痛群との比較
  • 1 腰痛群は頭痛群にくらべて、有意に教育年数が短く、職業はブルーカラーが多かった。腰痛と教育年数および職業の間には、なんらかの関連があると考えられるが、これらを結びつけることができる要因を見つけることが、今後の課題である
  • 2 腰痛群は頭痛群に比べて、有意にうつ病発症前に、疼痛がみられた。腰痛はうつ病の危険因子といえるかもしれない。今後、詳細な検討が必要である
  • 3 腰痛群は頭痛群に比べて、喪失体験後に、疼痛がより多く出現している傾向が見られたが、有意差はなかった
  • 4 痛みの訴えの内容をみると、腰痛患者の場合、痛みのために、苦悩が日常生活全般に広がっていると考えられる
  • 5 腰痛が軽快した後に、希死念慮が生じる患者が存在することは、ひとつの知見として、認識することは重要と考えられる
  • 6 治療の第一歩として肝要なことは、この医者なら自分の不安を語り、怒りを表現しても、聞いてくれそうだと患者に思ってもらうことと考えられる