脳機能画像における痛覚認知機構の解析

植松弘進、柴田政彦、大城宣哲、松田陽一、井上隆弥、真下節 脳機能画像における痛覚認知機構の解析 筋由来の痛みと皮膚由来の痛みの比較検討 日本運動器疼痛学会誌 2011;3:52-62

  • 1997 Svensson 電気刺激を用いた筋由来の痛みに反応する脳活動と、温熱刺激を用いたい皮膚由来の痛みに反応する脳活動にほとんど差がないと報告
  • その後の研究で、皮膚由来の痛みと筋由来の痛みに反応する脳活動の経時的変化に違いがあることが指摘された
  • 本研究では、皮膚に局所麻酔を施すことにより機械的刺激を筋のみに限局し、筋由来の痛みの反応する脳活動を直接評価することが可能となった
  • aMCC,aIC,pIC,LN,視床,DLPFC,IPL,preSMA(条件Dで活動)
    • 筋由来の痛みにのみ反応する領域ではないが、組み合わせが筋由来の痛みに特有の活動パターンもしくはネットワークであると考えられる
  • 2005 Tracey 痛みは一つもしくは複数の特異的な脳領域の活動によっておこるのではなく、痛覚認知の神経基質たる’pain matrix’を構成する領域間での情報の伝達と統合によっておこると示唆している
  • aMCC,aIC,pIC 条件Dで活動したが条件Cで活動せず。
    • これらの領域は筋由来の痛覚認知に直接関係する可能性がある
    • owenら aMCC,aICの活動は痛みの情動的側面に関連し、pICは痛みの強度に関連すると報告
    • DLPFC,IPL,preSMAは条件CとDで共通して活動がみられた。したがって、これらの領域は筋由来の痛み認知機構に直接関係する領域ではないのかもしれない。非特異的もしくはマルチモーダルな認知に関係があると示唆される
  • 以上のことから、筋由来の痛覚認知機構と直接関係する領域(aMCC,aIC,pIC)だけでなく、非特異的もしくはマルチモーダルな認知機構に関係する領域(DLPFC,IPL,preSMA)をも含んだ中枢でのネットワークが、筋由来の痛みに特有であると考えられる
  • S2は機械的刺激による皮膚由来の痛みに特有な活動領域であることが示唆される
  • limitation S1の活動がみられず
    • 下腿のS1におけるsomatotopyが小さいこと、刺激した範囲が狭かったこと