加茂淳 慢性腰痛のほとんどは筋性疼痛 ilihori 2010 No 3 139-147
- 最近の海外の文献から 決まりきった画像検査(レントゲン、MRI、CT)は患者を不安に陥れ、的外れへと導く結果となる
- ヘルニアや脊柱管狭窄は痛みの原因でなく、結果と見る方が理屈にあいます。
- 損傷モデルで痛みを説明することは矛盾に満ちています。そこで、生物心理社会的医学モデルという古くて新しい概念が登場してきました。
- 環境や心理状態によって変化しうる筋肉の緊張が痛みの現場と考えるほうが妥当あのです。
- 硬いしこりのある筋を「ワケあり筋」と読んでいます。
- 関連痛が生じる圧痛点をトリガーポイントといいます。
- トリガーポイトは痛覚過敏になっていて動作痛の原因になっているのです。このような病態を筋筋膜性疼痛症候群(MPSl;myofascial pain syndrome)と読んでいます。
- 神経性の麻痺 神経の電気活動がおきていない
- 痛み、しびれ 電気活動がおきている
- MPSでもじんじんする感覚が生じますが、これもしびれていると表現されます。患者さんがしびれているというときはMPSと考えるべきなのですが、医師はどうも麻痺と考えることがあるのです。
- トリガーポイントブロックの効果は次の4つ
- 発痛物質を洗い流す
- 運動神経をブロックして筋肉のスパズムを止める
- 痛覚神経をブロックして痛みが脳に伝わるのを止める
- 交感神経をブロックして血流を改善する
- 痛みの悪循環が続くと中枢性過敏、神経回路の可塑的変化が生じて慢性痛症という新たな病態になることがあります。この場合はトリガーポイントブロックだけではこんなんです。あらゆる手段で痛みの治療をしなくてはなりません。
- 慢性痛症に欠かせないのは認知行動療法です。「私は腰が悪いのでスポーツはできない」といった誤った認知を「私の腰は大丈夫だ。スポーツを再開しよう」というように行動を再開して認知を変え、慢性痛症を克服していく治療法です。この誤った認知が形成されるのに医師が関わっていることが多いのは残念なことです。
- 私が入局した三十数年前金沢大学整形外科の高瀬武平教授はよくおっしゃっていましたが、「キミ、患者が治るのを邪魔するな。邪魔しなければ名医だ。
- 画像診断機器の発達は目を見張るものがあります。しかし痛みの治療に恩恵をもたらずどころか、かえって医療の進歩を妨げているようです。画像で確認出来るのは老化変形した骨格や椎間板です。それが痛みの原因だと思い込んだところから悲劇が始まります。