覚張秀樹、広瀬統一 痛みに対する徒手療法 ーストレッチング 理学療法 2006;23(1):178-184
- 二次痛は、その痛みが慢性化するほど、痛みの部位の判別が困難となる
- 二次痛は、イライラや消極的な思考などの心理的作用によっても症状を悪化させてしまうことに留意しなくてはならない
- ストレッチングの一次痛への客観的効果は認められず、二次痛への対応を主眼に考える必要がある
- 痛みに対するストレッチングは、伸張反射の閾値を上げる(反応を鈍くする)ことが目的となる
- 筋収縮から弛緩へのスムースな移行を促し、筋を生理的に適切な緊張状態に保つためには、循環状態が良好であることが必要となる。
- 筋が持続的に伸張されるとゴルジ腱器官が筋緊張の高まりを感知し、その信号がIb求心性線維を伝播し、脊髄まで達する。脊髄内では介在ニューロンがこの信号を受け取り、脊髄前角にある運動神経細胞の興奮を低下させ、結果的に、持続的に伸長された筋の緊張を低下させる
- 痛みに対するストレッチング 筋緊張を抑制(低下)することにより循環を向上させることが目的となる。ストレッチの主たる役割は、痛み→筋痙縮→代謝障害→痛みの悪化という痛みの悪循環のサイクルを立つことに主眼をおくべきであろう
- 遅発性筋痛 発痛物質の蓄積によるものではなく、侵害受容器の機械的な刺激に対する感受性の高まりであることを想定させる
- 筋硬結部分を持続的に圧迫すると、その部位の痛みとともに、脊髄分節や末梢神経の走行と一致しない部位にも痛みが発現することがある。この離れた部位の痛みを関連痛と言い、関連痛を生じるポイントをトリガーポイントという。
- ストレッチングの生理的メカニズム、および客観的な効果判定については未解明な部分が多い
- 二次痛への対応、痛みの悪循環の解消が現状の(ストレッチングの)主たる目的になっているといわざろうえない。