井上和秀 痛みの生理学 臨床精神医学 2008;37(1):5-10
- 国際疼痛学会による痛みの定義 実際に存在する、または、潜在的、あるいはそれらに関連して表現される組織損傷に関連した、不快な感覚的、情動的な経験
- 痛みは体温、脈拍、呼吸状態、血圧につぐ、第5のバイタルサイン
- 外部からの侵害情報をしらせたり、生体内の病的状態を警報する役割を担う重要な警告系であるが、不快な情動が必ず付随するために患者の生活の質は損なわれる
- Aδ線維-脊髄後角第I,V層に入力
- C線維-脊髄後角第II層に入力
- 痛み情報は脊髄視床路を上行し視床に達する 鋭く速い痛みを伝える外側脊髄視床路 鈍く遅い痛みを伝える内側脊髄視床路
- 視床から体性感覚野や大脳基底核など広範な領域に投射し、多様な痛みを感覚させる
- 体性痛情報はまず扁桃体基底外側核に入力され、次に中心核に伝えられた後、他の脳領域へと伝達され不快情動が惹起され、一方内臓痛情報は、基底外側核を経由せず、直接中心核に入力され不快情動が惹起されるものと考えられる
- モルヒネによる場所嫌悪反応の抑制は、痛みの情動的側面に特異的な作用機序による
- SSRI(paroxetin)はP2X4のアンタゴニスト
- 病態時での異常な痛みであっても痛み感覚と不快な情動は分離できる可能性を示唆