松平浩 心因性腰痛 その傾向と対策 Modern Physician 2011;31(9):1115-1118

  • 評価
    • ”怒り”の感情を強く抱いている患者は間違いなく心因性要素が強い
    • 典型的な心因性要素が強い患者は、自分の想いを「この痛みさえなければ」「この痛みが完全になくなることを強く望んでいる」などと破局的に表現しがちである。”全か無か思考”
    • 恐怖回避思考(行動) 腰痛の重要な予後規定因子
    • 身体化傾向
  • 診察
    • 抑うつのチェック
    • Beck Depression Inventory (BDI)-II
    • 高齢者ではGeriatric Depression Scale (GDS)の短縮版
  • 治療、説明
    • 心因性”とか”精神的問題”という言葉は禁句
    • 「今までよくこの痛みに耐えて頑張って来ましたね」と共感する態度を示すことが極めて重要
    • 腰痛における変性、ヘルニア像、ある程度の狭窄、すべり症、分離症等、一般に痛みの原因とされがちな画像所見は、痛みの原因も今後の予後も語りえないことが多いという医学的な事実があることを説明
    • 痛みは、心的ストレスから来るメンタルヘルスの不健康の邦画、局所の画像(構造)上の異常よりも強く関連していることが多くお研究からわかってきた。これは決して”という心が弱いとか詐病ではなく、ストレス社会に生きる現代人にはごく当たり前に起こり得ることである
    • 心身は連動していてそれをコントロールしているのはあなたの脳であり、乱れてしまった脳内快楽物質のバランスを整える努力を少しづつしていきましょう。あなた自身が主体的に行動することが大切で、私(医療者)はサポーターになります。これは認知行動療法という慢性痛やうつの治療法として世界的に認められている治療法に基づいた考え方です。
    • 「痛みがあるからこれはできない、あれはやるべきでない」としていた思考から、「痛みがあってもできることは制限なくトライし行動する」方向への転換を促す。これが世界標準の痛み専門家の考え
  • 読書療法
    • NHKテレビテキスト今日の健康
    • 腰痛ガイドブックー根拠に基づく治療戦略
    • サーノ博士のヒーリングバックペイン
    • 腰痛放浪記 椅子が怖い
    • いやな気分よ、さようなら
  • まとめ
    • 患者の思考・行動、いいかえれば目標設定を、「痛みと正面切って向きあう」ことから「痛みが減らなかろうが人生を充実させる」ことに転換させる手法として本稿を少しでも参考にしていただければ幸いである