- これまで、痛みは感覚の異常として、単軸的な捉え方、すなわち生物医学モデルに基づくアプローチがなされてきた経緯があり、そのため慢性疼痛のような多面的要素を含む複雑な病態については対応しきれず、不適切な対応や放置されるケースが多かった。しかし、現代医療における痛みの対応では、局所“症状”にとらわれることなく、痛みを有する“人”の情動や認知、社会環境まで包含した生物心理社会モデルを重視するというパラダイムシフトが起きている
- 4つの心理社会的因子
- 痛み
- 身体的問題(日常生活どうさADLや活動性の低下)
- 心理的問題(消極的思考、catastrophizing)
- 社会的問題(社会的立場の喪失、生産性の減少)
- 自律神経検査
- salvatory alpha amylase (sAA) 身体的・心理的ストレス下の自律神経機能のバイオマーカー
- ADL/QOL評価
- 疼痛全般 PDAS(pain disability scale), PDA(pain disability index), SF-36
- 疾患特異的機能障害 RDQ(Roland-Morris disability index), ODI(Oswestry low back pin disability index), JOABPEQ, NDI(neck disability index), WAD(whiplash associated disorder)
- 行動的評価
- 心理的評価 HADS, pain catastrophizing scale, profile of mood state (POMS)
- 疼痛強度の数値化はもちろん重要である。しかし、それだけでは慢性疼痛症候群に苦しむ“人”を全体的に評価することはできない。慢性疼痛症候群では多面的な問題が複雑に絡み合って疼痛障害を形成していることから、評価の際には、個々の評価の意義をその都度検証しながら、慢性疼痛に苦しむ“人”を多面的に評価し、全人的かつ包括的な理学療法,,アプローチへつなげることが重要である