笠井裕一、松村好博、明田浩司、施徳全、若林弘樹、内田淳正 整形外科疾患の患者における慢性疼痛 臨整外 2007;42(6):519-522

  • 慢性疼痛の患者では、「痛みのある自分」としての自己像が出来上がり、さらに疼痛を自分で治そうとする力(自己治癒力)が働きにくい状態であることが多い
  • 慢性疼痛患者の分類
    • 自己治癒力希少型 内向的で神経症的傾向が高い 小目標をあたえて、できたらほめる
    • 自己治癒力空転型 外向的で神経症的傾向が高い 激情型でトラブル起こす 粘り強くラポールを形成すると改善
    • 自己治癒力潜在型 内向外向性が平均的で神経症的傾向がすくない 患者の社会経済的立場を理解し、取り巻く環境がよくなれば改善

 
大島精司、高橋和久、守屋秀繁 整形外科固有の痛みの発症機序の基礎的研究 臨整外 2007;42(6):523-530

  • 整形外科疾患の痛みの治療のターゲットはNGFや神経発芽の抑制
  • 滑膜炎や何らかのmicro-inflammationが疼痛伝達の主体である可能性

中塚映政、藤田亜美、熊本栄一 痛みの基礎研究 生理学的立場から 臨整外 2007;42(6):539-544

  • 整形外科医は痛みに対する知識と理解を深め、痛みを訴える患者に対して真摯な態度で向き合うことが求められている
  • 組織損傷などによる痛み刺激とわれわれが感じる痛みの体験との間には、一連の電気的並びに化学的現象が存在する
  • 末梢の痛み情報は、一次求心線維によって脊髄後角に伝えられる。
  • 一次求心線維と脊髄後角はシナプス結合
  • 電気シグナルは化学シグナルに変換され、脊髄後角細胞に伝えられる
  • 痛みを受容するイオンチャンネルは一次求心線維中枢端と脊髄後角細胞間のシナプスにもあるー痛み情報を脊髄レベルで増幅するしくみ
  • BDNFは神経回路網の可塑性発現における責任分子
  • 内因性鎮痛機構
    • 精神が興奮している状態では下行系抑制系が賦活化され、末梢から脊髄後角へ伝えられた痛みは脊髄レベルで軽減
    • 痛い箇所の周囲をさすることによって痛みが軽減するのは、脊髄内抑制系の働き
  • 脊髄のマイクログリアから遊離されるサイトカインをはじめとする様々な液性因子が慢性疼痛に深く関与することが分かった