堀川直史 慢性疼痛と疼痛性障害のペイシャント・エンパワーメント 臨床精神医学 2013;42(6):749-755
- ペイシャント・エンパワーメントは「患者が自分の病気の診療について自己決定し、責任の一部をもつようになること」あるいは「患者に自己決定を促し、それを尊重すること」という意味になる
- 疼痛性障害のマネジメントとペイシャント・エンパワーメントの関係
- 1 疼痛とその苦痛、患者の置かれた苦境などを聞いて理解する
- 2 「すぐにちろうがい必要な重い病気はない」と伝える
- 3 疼痛性障害という病名をはっきりと伝える
- 4 病態について簡潔に説明する(「疼痛に注意が向かうことによって疼痛がさらに強まるという悪循環が生じている」という説明は患者に伝わりやすい)
- 5 この病気の治療ができること、「急にというわけにはいかないが、痛みは必ず軽くなる」ことを伝え、治療を受けるように勧める
- 6 予約診察として、「必要に応じて受診する」という診察形態を避ける
- 7 なるべく入院を避ける
- 8 抗うつ薬(主にセレトニン・ノルアドレナリン再吸収取り込み阻害薬)を処方する
- 9 少しづつ可能な運動を開始する
- 10 認知行動療法の併用を考える
- 11 患者がストレス因子について話すようになったら、それを聞いて理解し、対策を相談する
- 12 家族にも、患者と同じように対応する
- 13 精神科医が症状を早く取ろうと焦らない
- 14 精神科医は自分の陰性感情を自覚し、このような患者をみることも医師の一部であることを割り切る