痛みを知るためのデータ分析 ー痛み患者の不公平感を事例として

山田恵子 痛みを知るためのデータ分析 ー痛み患者の不公平感を事例として 最新精神医学 2020;25(2):67-72

  • 慢性痛患者らが抱える不公平感(perceived injustice)とは、痛みに苦しめられる自身の境遇が理不尽であるとの思いに囚われる認識
  • 外傷による慢性運動器疼痛患者 痛みの強さ、抑うつ、痛みに破局的思考、痛みに対する恐怖とは独立して不公平感が高いほど1年後の復職率が低かった
  • ムチ打ち関連症候群 不公平感の改善は運動リハビリテーションプログラムに参加した患者の歩行速度を増加させた唯一の倫理的因子
  • 全人口膝関節置換術予定患者 術前と術後一年後にIEQ-chrを含む自記式室温表で、術前の不公平感の高さと手術一年後までの抑うつ症状と痛みによる日常生活障害に関連があり、不公平感が高いほど、これらの症状は改善しにくかった
  • 交通外傷によるムチ打ち関連症候群患者 不公平感の高さと回復の悪さが関連していた
  • 不公平感が強い患者は疼痛行動が著しいという報告がある
  • 不公平感によって生じた怒りにより、自らが置かれた不公正で理不尽な状況に対して、「自分たちは報復する権利がある」という主張が高められるとされる。
  • 不公平感によって引き起こされる患者の強い怒りに対峙する医療者は対応に苦慮することになる
  • Sullivanらが不公平感を定量する尺度の開発や、尺度を使用した不公平感ののリスク因子として実証にとどまらず、彼らが不公平感を含む心理的リスク因子をターゲットとした介入方法として、心理社会的リスク標的型行動活性化プログラム(risk-targeted behavioural activation intervention)を開発している
  • 不公平感以外にターゲットとしている心理的リスク因子は、痛みに対する破局的思考、痛みに対する恐怖感、痛みにせいで「できない」と強く思い込むことである