医学のあゆみBOOKS ペインクリニック診療 38のエッセンス
- 作者: 細川豊史
- 出版社/メーカー: 医歯薬出版
- 発売日: 2018/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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水野泰行 ペインクリニック+α:心理療法のエッセンス p168-172
- ペインクリニックで治療を受けたが良くならなかったので来たという人が少なくない。そういった患者の前医への不満では、”痛みが良くならなかった”よりも”あまり話を聴いてくれなかった”のほうが圧倒的に多い
- 話を聴き出す能力ではなくて患者が何を話したいかを察知する能力が大切
- 患者との会話を、より意識的に方向性と目的をもって行う
- 注目点 早口な患者が急にゆっくり喋ったり、視線が虚ろになり自分の内面に意識が向いていそうに見えたりすることろ
- 外的な事実でなく患者自身の気持ちが語られたところで共感の言葉をかける
- しばしば医師は医学的な正しさに拘泥して、患者のコンテキストを理解する努力を怠りがちである
- 最初の段階では、患者が訴える痛みについて傾聴するのは重要である
- 患者が提示しているものを利用して少しづつ変化を促すのである。イメージとしては治療者が車の助手席に座ったナビゲータで、運転手である患者に横からアドバイスをしつつ、気付かれないほどに少しだけハンドルを回し、いつの間にか違う方向に進んでいるというのが理想である
- 注目すべきは患者の注意の対象や想起される記憶である
- 多くの患者は悪い面に注意が向きがちであり、それが次から次へと他の悪い部分や記憶を意識に上らせ汎化してしまうために、本当はできていることに気づけない場合も多い
- 「できない」と言われたときは、どのようにできないかを、より詳しい質問によって明らかにすべきである
- 患者の行動を抑制する大きな要因に、痛みに関連した不安や抑うつがある
- 不安は未来に向いた意識による危険の予測によって起こり、抑うつは過去に向いた意識による喪失感によって引き起こされるといわれている
- 慢性疼痛の悪循環を形成する概念には破局化やキネシオフォビアといった不安や恐怖がある
- このように思考(=実在しない危険)に囚われた状態をACTでは認知的フュージョンとよび、それによって回避行動をとることを体験の回避とよぶ
- そして思考に飲み込まれずにそれを観察して、その考えが自分に役立たないときには自分の価値観に基づいて行動を選択するのを脱フュージョンとよぶ
- 体験を回避している患者には、できないと思うことを実際どのくらいできないのか確かめることをお勧めする
- マイナスを減らすのではなくプラスを積み上げるほうが、明らかに患者の気分やもモチベーションは改善するのである
- 患者が痛みをもった状態やその辛さを受け入れて、あるがままにしておくことをアクセプタンスといい、脱フュージョンとともにACTの基本的な望ましい対応である