- 作者: 大西秀明,森岡周
- 出版社/メーカー: 三輪書店
- 発売日: 2009/04/28
- メディア: 単行本
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前岡浩、爪谷大輔、森岡周 9 痛みの脳科学と臨床 p235-243
- 受容器から脳への情報伝達経路をあわせて考えてみても、表在痛は体性局在が明確であるのに対して、深部痛は局在が曖昧な鈍痛として感じられ、またポリモーダル受容器からの情報が辺縁系へと伝達することを考えると、深部痛には情動との関係も推察される。以上のことから考えると、深部痛はより慢性化する可能性があると考えられる
- Melzack ニューロマトリックス理論
- 脳は身体がなくても、身体を感じ、知覚経験を作り出すことができる
- 外傷がなくとも痛みを感じ、外傷があっても痛みを感じないことがある
- すなわち、これは自己の身体を知覚するという現象は、脳の中の身体に関する経験に由来するというものである
- 身体図式は、主に頭頂連合野に蓄えられている。この身体図式は、視覚情報と体性感覚情報の統合によって生成される
- 上田らは、慢性腰痛者と非慢性腰痛者の体幹伸展運動における視覚と体性感覚に基づく実際の運動結果の食い違いを調べ、慢性腰痛者において、その食い違いが(誤差)が有意に大きく、同時に記録した脳活動において、Finkらの結果と同じように、前頭連合野外側部に活動の増大を認めた。また同時に身体図式が蓄積されている頭頂連合野(7野)においても活動の増大を認めた。この領域は、感覚刺激がなくとも身体知覚を生成する場所であり、痛みを近くとして生成している可能性が考えられている。
- 中枢神経系にとって身体は情報器官となる。その情報に問題があれば、中枢神経における予測機構との間に食い違いが生じる。末梢器官を実行・支持器官のみと捉えず、情報器官として捉えることも、今日の痛み治療には必要なのかもしれない
- 後部頭頂葉
- Bishopら 腰痛患者には活動制限や欠勤の必要性があると信じている医療者がいまだに多く存在し、彼らの姿勢や考え方が患者に対する治療や指導に影響を与え、腰痛そのものの状態や疼痛に対する患者自身の認識にも影響を与えていると述べている
- fear-avoidance beliefによる無用な安静は百害あって一利なしといえる。
- 現在では急性腰痛の治療においてさえ、もはや床上安静は推奨されておらず、必要とされる場合でも最長3日間以内にとどめるべきであるとされている
- 痛みのために運動が妨げられたり、運動によって痛みが増悪したりするケースに何十する場合が多いのも現実である。そのような患者にたいしては、実際に四肢の運動をさせるのではなく、運動をイメージし、運動をつかさどる脳領域を活動させることから始めることで、症状の軽減を図れる可能性が示唆されている
- 活動指向型リハビリテーションは主観的な疼痛の強度を大きく軽減させるには至らなくても、患者の活動性を高め、身体機能の許容量を高めることができると報告されている。