橋本辰幸、熊澤孝朗 基礎:筋骨関節の痛み 理学療法 2008;25(7):1095-1101-966
- 残念なことに、筋骨関節などの運動器の痛みは有訴率が高く臨床的に重要な痛みにもかかわらず、適切なケアが行われているとはいいがたい
- 最近では運動器の痛みは神経系に協力に働きかけることにより中枢の可塑性に多大な影響を及ぼし、複雑な病態像を作り出すことがわかっている。
- 筋骨関節からの侵害情報を伝えている神経はすべてIII群ならびにIV群に分類される細径求心性線維であり、免疫組織的には神経ペプチドであるサブスタンスPならびにカルシトニン遺伝子カンレンペプチドCGRPを含有している。これらの神経はポリモーダル受容器のタイプの反応を示す。ポリモーダル受容器からの情報を伝えているものは皮膚ではC線維であり、深部ではAδ(III群)とC線維(IV群)の両方となる
- 筋の痛み
- 代謝産物による痛み 乳酸のみが責任物質ではない
- 運動後の痛み
- 圧痛点
- 骨の痛み
- 関節の痛み
- 関節の侵害受容器は関節運動が正常関節可動域を超えた場合に活性化されるが、病態時には滑膜の炎症や軟骨の損傷などにより誘導される炎症メディエータにより、正常可動域の動きでも反応するようになる。また炎症時のみ活性化されるslicent nociceptorsの存在が明らかになっていう。
- 中枢の可塑性と病態に伴う諸現象
- 運動器の痛みは中枢の可塑性に影響しやすい
- 中枢の可塑的変容による痛みの拡がり 中枢で可塑的変容が起こると時間的空間的に痛覚増強が拡大していくことにより病態像が複雑化し、これにより痛みの強度や痛み部位を評価することがさらに困難となる
- 運動器の痛みが引きおこす運動器障害
- 痛みの悪循環
- 関節原性筋抑制
- 痛みにより誘発される運動器障害 最終的には関節の屈曲拘縮という末梢の可塑的変容が形成される
- 屈筋への過剰なストレッチやマッサージなどは痛みを発生させる場合があるので、抑制されている伸筋の筋力増強を行いながら、誘発される相反性抑制を利用して、屈筋の筋緊張亢進を軽減させるようにする