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旭川医科大学病院緩和ケア診療部

阿部泰之 旭川医科大学病院緩和ケア診療部 Practice of Pain Management 2015;6(3):170-175

  • 患者さんは、身体的な問題だけでなく、常に心の問題も同時に抱えており、痛みについて「ここは身体の問題」「ここからは心の問題」と明確に分けることはできません。
  • 構造構成主義とは何か 西條剛央
    • 価値観や世界観の違いから生ずるさまざまな対立を解明するための理論体系
    • 信念対立を巧みに回避しつつ、さまざまな理論や方法論を駆使し、科学性を担保することを可能とする原理的な理論
  • 痛みを語る上で「構造構成主義」を用いることができないかと考えている。「構造構成的痛み論」
  • 構造構成的痛み論では、痛みは、われわれが経験によって感じる「現象」が、なんらかのきっかけによって生成され、主体の「志向性」(受け取り方の違い)基づいて構成され続ける「構造」である、と捉えます
  • ここでいう「構造」というのは、存在意味価値のすべてを示しています。「構造」は、決して一定ではなく移ろい行くもので、人によって、また受け取り方の違いによって、異なるものとして捉えられる可能性があります。
  • 痛みを変わりゆく構造として捉えるのであれば 、そもそも、痛みに診断名をつけるべきではないかもしれません。診断というネーミングを行うことで、ステレオタイプなものの見方を助長してしまい、また固定したものとしてか見られずに、状況が変わっても対応を変化させることができなくなるおそれがあるからです。もちろん、実臨床では便宜上診断名が必要なのでつけざるを得ませんが、それはあくまでも「仮」の名づけと考えるのがいいと思います。その方が痛みの本質を捉えるには望ましい気がしています
  • 痛みの治療においては、変わりゆく痛みに「構造」を見極め、「志向性」を探りながら、患者さんに対してさまざまな心理的身体的バランスをとりつつ接するという、創造的な作業が必要となります。
  • とにかく痛くて、つらそうにしている人には、まず、その痛みを抱えているその人の存在を認めてあげること、痛みの表現に寄り添うことが重要だと思います。
  • 「他者承認」こそ、医療者が患者さんと向き合うときの基本になると思います
  • 構造構成的痛み論
    • 痛みとは「志向相関的に構成され続ける構造」である
    • 視点の固定化を防ぐために診断名は仮のものと認識する
    • 患者さんのもつさまざまな「志向」を見極め、志向をよい方向に変化させる方策を考える
    • 方策と方策のあいだのバランスを考える
    • 患者さんへ向かう姿勢は他者承認を原点とする