- 痛みはヒトにおいて言葉で訴える感覚である
- ギリシャ医学 痛みは心臓に宿る不快な情動 by アリストテレス
- 同じ時代にピタゴラスらは、痛みは脳で知覚される感覚であると考えた
- 痛みは感覚か情動かが論点である時代が続いた
- 1960年代後半 Perl
- 皮膚への針刺しのような純粋に侵害的な機械刺激のみに対して刺激期間中だけ強度依存的に反応するAδ線維で伝えられる高閾値機械受容器の存在を確かめた 痛み系にそれ独立の系が存在することを確かめた
- 末梢組織に損害がなくても神経系に新たに生まれた可塑的な変容が源となって痛みが発生することが明らかになった
- IASPの 痛みの定義
- 痛みは不快な感覚性情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うもの、または伴っている可能性のあるものと、そのような損傷があるような言葉で表現されるものがある
- 上記定義の重要な点
- 痛みは感覚か情動かという問題に対して、その両方がいたみであるとした
- 身体に傷害部位が検出できなくても、患者が訴える痛みを痛みとして受け止めるべきであると明文化した
- 慢性痛には2種ある
- いったん治った傷が再燃を繰り返し、長引いているもの 組織損傷に由来
- 組織損傷が完全に治っている時期に痛んでいる場合や、痛覚受容器がないはずの部位に痛みを感じる(幻肢痛)
- 後者は神経系に発生した病期 正常時には他の系とは独立の働いている痛み系が、他の神経系と混線を起こした状態に変化して可塑的な変容となってしなったもの
- 分化の程度が低い痛み系も同様に何にでも変わり得る自由度の高さをもち、このことが痛み系に高い可塑性を生み出している
- 医療は痛みに対してできるだけ速く対処すべき
- 警告信号としての役目を終えた痛みは、「即、止めろ」である
- 慢性痛症に対する決定的な薬物の開発は現在のところ成功しておらず、警告信号として何の意義ももたない慢性痛症への最良の対応策は、新たな慢性痛症を作り出さないことである
- 慢性的な痛みへの対応
植村研一 痛みしびれの病態生理と臨床評価 PTジャーナル 2008;42(2):95-104
- 末梢の感覚受容器が刺激された結果として、神経信号が中枢神経内を上行する過程を感覚(sensation)と呼び、それが大脳皮質の一次感覚領野に到達して意識された時に知覚(perception)と呼び、さらにその意味を理解した時に認知(cognition)と呼ぶ
- 感覚 体性感覚(触覚、痛覚、温度覚、関節位置覚、振動感覚など)、特殊感覚(聴覚、視覚など)、内蔵感覚の3つの大別
- 末梢神経線維
- 有髄線維 Aα, Aβ(触覚), Aγ, Aδ(速い痛みと温度覚)線維
- 無髄線維 C線維
- 体性感覚の上行路
- 痛覚の抑制
- 先回りした触覚信号がどこかであとからくる痛覚信号を抑制すると、さすると痛みやかゆみが軽快する