連載を終えるにあたってー慢性痛診療におけるサイエンストアート

伊達久 連載を終えるにあたってー慢性痛診療におけるサイエンストアート ペインクリニック 2015;36(12):1695-1701

  • 細井先生の外来を見せてもらった第一印象は、「痛みにニュートラルである」ことだった。それまではペインクリニックの現場では、痛みのことを中心に聞くことが多く、患者が痛いと言った時にどのように対処するかを考えながら診察することが多かった。また、診察はていねいにするけれど、処置(まあこれは心療内科なのでしないでしょう)や投薬を行うことがほどんどなかったことには、とても驚いた。
  • なしもしないで帰す(もちろん診察はしているわけで、これが治療的対話だということは後で理解した)ことなど考えもしなかった
  • 心療内科の受診者は心理・社会的因子の関与について抵抗が少ないのに対して、ペインクリニック受診の患者は身体的因子を重要視して、精神的因子の関与を強く拒否するところが大きな違いであった。診察に多くの時間をかけられる心療内科のスタイルをそのままペインクリニックの外来に取り入れることは不可能だと思ったが、痛いの患者に共通する事項をチェックすることで、心理社会的因子の関与をある程度短時間で推察することができるのではないかと考えた。これを共有することで、ペインクリニシアンが行う心理的アプローチの手助けになると思い始めた。

雑誌ペインクリニックの「慢性痛の心理アセスメント」の連載は非常に勉強になった。本文もさることながら、細井先生のコメントも非常に示唆に富むものであった。今後すべてをまとめた別冊が刊行予定とのことである。拙blogでの引用を以下に示す