山田了士 慢性疼痛に関わる精神科 臨床精神医学 2013;42(6):709-714
- 一般的な精神科外来における治療の方向性として、生活の充実と病者の役割からの脱却という視点から述べてみたい
- 精神科医の慢性疼痛を診るのは避けたいという理由
- 「身体所見が乏しい場合は心因」という身体科医の除外診断に釈然とできないこと
- 患者が怒りや攻撃性を内在あるいは外表しており、かつ精神科受診に否定的な場合が多く治療関係が難しいこと
- そしてなかなか良くならないこと
- 慢性疼痛を持つ人を精神科医が理解するべき2つのポイント
- 精神科医が慢性疼痛を治療するにあたって大切だと思われること
- 受け入れること
- 痛みは気のせいなどでなく、現実に存在するものだという認識を患者と共有すること
- 攻撃性や怒りについては、痛みの原因というより、痛みとそれによる理不尽な生活の破綻の結果であるという前提で話を聞いていく
- 生活と人生に焦点をあてる
- あくまでも治療の方向性としては「病者の役割」から「生活者の役割」へ移行すること
- たまたま過去の問題を上手く引き出せて言語化出来たことが有用であったようにみえる。しかし彼女はそのことによって自分を無価値化したり、あるいは両親や他人を責め続けたりするのではなく、自分をリセットして子どもを持つという希望へ入れ替えることができたことの方が重要であったのではないか
- 治療の補助としての薬物療法など
- 向精神薬を始める時、薬は自転車の補助輪あるいは杖のようなものであって、あくまでそれを使って生活を充実させ楽しむことの方が治療としてはるかに大事であることを話すようにしている
- 身体の変化を見落とさないこと
- 症状の悪化を受容すること