CRPS

越智健介、堀内行雄 複合性局所性疼痛症候群 (CRPS) 脊椎脊髄 2011;24(5):550-556

  • 1977 Lankford RSDのうち神経損傷があるものをcausalgia,神経損傷がなく外傷後に発症したものを外傷性ジストロフィー、四肢以外の外傷や疾病に続発したものをshoulder hand syndromeと分類した
  • RSD
    • RSDの中に交感神経ブロックにより症状が改善されるもの sympathetically maintained pain
    • ブロックにより症状が改善されない sympathetically independent pain
    • 交感神経ブロックにより疼痛が増悪する angry back-firing C-nociceptorが報告された
  • 1994 IASP CRPSを提唱
    • type I (神経損傷を伴わないもの) type II (神経損傷を伴うもの)
    • この診断基準 感度は高いが特異度が低い問題あり
  • 2005 IASP 改定診断基準
  • 厚生労働省CRPS研究班 臨床用、研究用の日本版CRPS判定指標
  • 疾病利得がからむ後遺診断を行う際には、安易にCRPSという病名をつけるべきではない。”治療のための病名”と”診断書作成のための病名”を適切に使わけなければならないことは、本疾患を診断・加療する上で特記すべき事項である
  • ”治療的側面”からは過剰診断を恐れてはならないものの、外傷後の診断書作成の際には細心の注意が必要となる。日本版CRPS判定指標の但し書き2にもあるとおり、現実的には、”治療のための診断病名”と”診断書作成のための診断病名”を区別して考えることが必要となる。

西浦康正、原友紀、落合直之 CRPSの診断・治療における最新の知見 整・災外 2009;52:663-669

  • IASP 1994 診断基準 
  • type I 神経損傷がなく疼痛と自律神経症状様の症状を示す
  • type II causalgiaと呼ばれていた明らかな神経損傷のあるもの
  • 感度は高いが、特異度が低い
  • 2005 改定診断基準
  • 4つのカテゴリー 感覚障害、血管運動障害、浮腫・発汗機能障害、運動障害・栄養障害
  • 臨床用と研究用
  • 感度 70% 特異度 94%
  • type I,IIの区別はない
  • 2005 厚生労働省CRPS研究班による疫学調査、判定基準
  • CRPS 195例 非CRPS 146例
  • 5つのカテゴリー 栄養障害、関節可動域障害、感覚障害、発汗異常、浮腫
  • 臨床用、研究用
  • 2つの但し書き
    • 但し書き1 この判定基準は1994年のIASPのCRPS診断基準を満たすことを前提とし、CRPS患者と四肢の痛みを有するCRPS以外の患者とを弁別する指標
    • 但し書き2 このCRPS判定基準は治療方針の決定や予後予測、専門医への紹介基準など治療を進めていく際の診断を目的に作成されたものである、患者の病態の重症度や後遺障害を判定するためのものではない
  • CRPSの治療
    • エビデンスレベルの高い治療法はない
    • 治療指針はまだ作成できない
  • 後遺障害の労災認定基準
    • 2003 RSDに対する労災認定基準が作られた
    • 症状固定時においてRSDの慢性期の主要な症状とされる3つの症状について明らかな所見を有するものに限りRSDとして取り扱うことになっている
    • 関節の拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
    • 7,9,12級に認定される