住谷昌彦、山田芳嗣 プレガバリンの臨床 ペインクリニック 2010;31:S271-S277

  • 神経障害性疼痛
    • Pain arising as a direct consequence of a lesion or disease affecting the somatosensory system 体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的にひきおこされる疼痛
  • プレガバリン
    • GABAの誘導体
    • 中枢および末梢神経系に広く分布する電位依存性Ca2+チャンネルのα2δサブユニットに特異的に結合するリガンドとしてCa2+チャンネルの拮抗作用を示す
    • いずれのアミノ酸輸送体でも吸収されるので、生体利用効率が90%以上と高く、服薬用量に応じて線形の血中濃度上昇が得られる。
  • 神経障害性疼痛患者の睡眠障害の改善効果が顕著である
  • 海外では全般性不安障害発作の適応をもち、抗不安効果が強い。また痛みの破局的思考に対する有用性も示唆されている
  • Neuropathic pain-fear-avoidance model
    • 疼痛にともなうイベントが発生してもそのとらえ方は患者によって大きく異なり、疼痛の遷延化の規定因子として“痛みの破局的思考 PAIN CATASTROPHIZING”の存在が知られている
    • 痛みの破局的思考は、反復(何度も痛みを考えてしまう)、拡大視(痛みを必要以上に強い存在と感じる)、救いのなさ(痛みから逃れる方法がないと考える)の3要素からなり、神経障害性疼痛線維筋痛症、非特異的腰痛患者では痛みの破局的思考の傾向が強い
    • 痛みの破局的思考は、痛みへの過剰なとらわれ(suffering)といいかえることができ、痛みに関連した不眠や不安―恐怖を惹起、増強する。その結果、痛みがおきるような日常生活を避け、過度に安静を保つようになり、廃用障害やADL/QOLの低下、抑うつ傾向があらわれ、これらが転じて疼痛認知がより強まる
  • 神経障害性疼痛の認知をネガティブに修飾する要因がループ状に悪影響を与えあう「痛みの悪循環」をNeP(neuropathic pain)-fear-avoidance modelとして考案している
  • これらの陰性要因の有無で神経障害性疼痛の強度やそれにかかる医療費を比較すると、陰性要因を持つ患者の重症度は高いため、これらの陰性要因も疼痛とともに治療対象と認識されなければならない。