宮岡等 精神医学からみた疼痛と線維筋痛症 Pharma Medica 2006;24:31-33
- 先日、アメリカの某有名ペインクリニックの看護師に会う機会があった。「線維筋痛症という病名は、まだまだ診断基準も曖昧に思えるが、なぜあなたたちは積極的に使うのか?」と尋ねたところ、即座に返ってきた答えは、「精神疾患では保険が下りないから」であった。
- 身体科の医師の多くは、「身体病変が見いだされないにもかかわらず訴えられる痛み」や「多少の身体病変があってもそれだけでは説明のつきにくい痛み」に対して、病院としての心因を検討することなく安易に心因性疼痛という用語を用いてきた
- 原因不明の痛みに対応する最初の一歩は、安易に心因性疼痛という用語を用いないことであろう。
- 痛みが持続する症例のなかで詳細に病歴を聴取すると、かなり前から、さまざまな身体部位の愁訴を認めたり、頭痛、腰痛、背部痛などを訴えるも長年原因がわからず、長年にわたって病院を転々として検査を受けていたりする場合がある。このような症例は精神医学では心気症と診断されることが多く、自分の身体に注意を向けやすいという性格が関係していることが多い
- 心気症は心療内科でなく精神科の対象疾患であることがもっと考慮され、精神科医が活発に発言する必要がある