疼痛に対する徒手的アプローチの理論的背景

辻井洋一郎 疼痛に対する徒手的アプローチの理論的背景 理学療法 2000;17(2):188-192

  • 急性痛 その原因疾患が完治することで消失するのが普通
  • 慢性痛 末梢での傷が治っているにもかかわらず、痛みが持続。持続的な痛み入力により神経回路内に生じる可塑的な変化が原因
  • 慢性痛の原因はともかく、その苦痛の中心は屈曲防御反射などによる反射的で、不安などを原因とする精神的な筋緊張亢進により始まる筋痛であり、筋緊張の制御が慢性痛による苦痛の程度を決定すると考えられる
  • 痛みの問題は筋の関与を抜きにしては論じられない
  • 求心系の持続的興奮、脊髄での興奮の伝達の変化、交感神経の異常興奮といった連鎖系が悪循環を形成することが慢性痛にみられる痛みの悪循環説として提唱されている。痛みの問題には自律神経系の関与が大きい。