ロコモディブシンドロームにおける慢性疼痛をどのように治療したらよ

井上雅之、池本竜則、井上真輔、新井健一、西原真理、牛田享宏 ロコモディブシンドロームにおける慢性疼痛をどのように治療したらよいのでしょうか Geriat med 2012;50(9):1065-1068

  • 慢性疼痛は、1元来原因となっている局所所見(神経圧迫、関節変形などの器質的要因)の問題が減少あるいは消失しているのにもかかわらず疼痛が持続する状態、2原因となっている病態を治療し得ない状態が持続するため、急性痛が長期間にわたって繰り返し起きているもの、などがあると考えられている
  • 慢性疼痛患者のおける治療は薬物療法なども行われるが、生物学的要因、心理学的要因、社会環境を考慮することが不可欠とする生物心理社会モデル(biospsychosocial model)に基づいて行われるため、その目標は痛みの寛解ではなく、患者のADL改善およびQOL向上となる
  • 関節などにおいて炎症性の要因が大きいものに対しては非ステロイド性抗炎症薬、そのような要因が乏しい場合にはアセトアミノフェンが望ましい
  • 運動の導入においては、まず重力の影響や身体の負担が少ない臥位をとることが重要である。これは臥位をとることで、過緊張状態にある筋に対してリラクセーションを得ることが可能であり、筋緊張が正常に近づくことにより、効果的にストレッチングや随意的な筋収縮を行いやすい状態になる。また臥位においては姿勢異常が軽減し、体幹を含む各関節を中間位に位置することが可能となるため、関節の安定化に関与する筋に対して、随意的に等尺性収縮を実施させることで筋の再教育を行う。その後、痛みや筋収縮の状態にあわせて、段階的に抗重力位(四つ這い、坐位→立位)へと移行し、姿勢異常の改善を図る
  • 全身持久力の改善については、関節への負担を軽減できるエルゴメーターや水中運動などが効果的であると考える
  • 慢性疼痛患者ではこのペーシングが不良であることが多く、活動量減少による身体機能の低下や、反対にオーバーユース(やりすぎ)による症状悪化を招き、自己判断で運動を中断し、さらなる身体機能低下、症状悪化へとつながり悪循環に陥りやすい