Clinical Neuroscience 2005;23(11) 帯状回 1

長井道明、加藤敏 島皮質と帯状回 Clinical Neuroscience 2005;23(11):1231-1235

  • 島皮質 味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚に代表される五感の機能に加え、痛覚、自律神経、感情、注意、言語、前提機能などの機能に関与
  • 帯状回 痛覚、自律神経、運動、感情、注意、記憶、言語などに関与
  • 1962 Foltz & White 帯状回前部切断術患者 痛みを感じるがそれに対する嫌悪感が消失する
  • Berthier 痛覚失認をしめる症例 すべてに島皮質の損傷
  • Coghill PET study 痛みの知覚に関与する脳部位を、S1,S2,帯状回前部、補足運動野、視床とし、痛みをともなわない体性知覚に関与する脳部位をS1,S2,島皮質後部
  • Ploghaus fMRI study 痛みを感じる脳部位を両側の帯状回前部、島皮質中部、島皮質前部と片側の小脳後部
  • 痛みの知覚は体性知覚野と島皮質の活動が重要で、痛みに対する感情は島皮質前部と帯状回前部の活動が関与することが示唆される。
  • 島皮質と帯状回前部は自律神経活動とそれにともなう感情の生成に重要であることが示唆された

岩田幸一 痛覚認知と帯状回 Clinical Neuroscience 2005;23(11):1249-1252

  • 痛覚の中枢伝導路 大きく内側系と外側系の2つ
  • 外側系 脊髄後角ー視床の腹側基底核群ー大脳皮質一次体性感覚野 痛みの原因となる場所、程度、持続時間
  • 内側系 脊髄後角ー視床の内側の核(髄板内核など)ー大脳辺縁系(前帯状回) さまざまな自律神経系反応を巻き込んだ複雑な痛みの性質 情動的な性質
  • 広作動域WDRニューロン 非侵害刺激と侵害刺激の両方に反応し、刺激強度の増加に伴って反応性をます
  • 特異的侵害受容ニューロンNS 侵害刺激のみに反応する
  • 帯状回は痛みの弁別能力が低い皮質領域と言える
  • 帯状回が痛み以外の他のモダリティーに注意を移すと活動性を低下することを意味しており、前帯状回が注意の移動により痛覚が減弱するという痛覚抑制のメカニズムに対して、なんらかの機能的役割を演じている可能性を示した結果であると考えられる