リハビリテーションのための行動分析学入門

リハビリテーションのための行動分析学入門

p51-62 第5章 慢性痛に対する行動分析学的アプローチ

  • 慢性痛では、「痛み症状」よりも痛みを周囲の人々に知らせようとする「痛み行動」の解決が重要である
  • 痛み行動は、痛み刺激を手掛かりとしておこったオペラント行動に対して同情や愛護など周囲の人々から反応がその行動を強め、痛み刺激→痛み行動→周囲からの反応といった学習を形成する
  • 行動分析学的アプローチでは、痛み行動を強めている環境や周囲の人々との関わり方を明らかにして、それらに計画的に介入することで痛み行動を弱め、日常生活や社会復帰に必要な行動の学習を促す
  • 身体原因の不明確な症状は医療者に理解されないため、医療の対象からも排除される傾向にある。医療から見放された人々は、このような扱いに対して医療者や周囲の人々とトラブルを繰り返し、怒りや攻撃性が痛みへの固執を強め、さらに痛みの症状を増悪させるという悪循環に陥ることも少なくない
  • 急性痛は、身体の一部で起きた事故を我々の意識に伝え、自己の拡大を未然に予防する警告の役割を果たしており、生きていく上で重要な症状であるといえる
  • 急性痛は、炎症が治癒し、痛みをおこす物質が消失すると考えられる、発症後6ヶ月以上経過しても消失しない痛みは、急性痛と区別して慢性痛と呼ばれている
  • オペラント行動とは、何らかの刺激を手がかりとして起こった自発的な行動が、周囲からどのような反応を得られるかによって強まったり弱まったりする行動のことである。
  • 慢性痛のアプローチの基本方針は、行動が学習される仕組みをうまく使い、痛み行動の出現をコントロールすることである
  • 行動分析学的アプローチの目標は、痛み行動の出現をコントロールして、医療や他人に依存しない自立した生活能力を獲得させ、その人にふさわしい社会的な役割に復帰させることである。
  • 問題となる不適切な行動を減らすだけでなく、その代わりとなる適切な行動を学習させることである